人身被害防止へ、Highlandersが国産AI四足ロボでクマ被害防止

東京大学発スタートアップのHighlanders（東京都豊島区）は2025年12月24日、国産AI四足歩行ロボットを使ってクマによる人身被害を防ぐプロジェクト「KUMAKARA MAMORU」を始めた。危険な巡回や追い払いを、人の代わりにロボットへ渡すという提案だ。実証の成果が「山際の安全」を新しいインフラに変えられるかが焦点になる。

境界を守る役目を、人からロボットへ移す

狙いは、里山と生活圏の境界を四足ロボットがパトロールし、クマの接近を見つけて人の介入を減らすことにある。Highlandersは、防衛やインフラ分野などの極限環境で培った技術を、地域の安全に振り向ける。例えば、住宅地の外れの林道を夜間に巡回し、藪の奥の動きを早めに知らせる運用を想定する。

一方で、現場の担い手不足という課題は「置き換え」だけでは片付かない。警戒の判断、住民への周知、現場への出動は残る。ロボットが拾った映像や位置情報を、自治体の防災無線や見回り体制とどうつなぐのか。導入後の手順設計が、効果を左右する論点になりそうだ。

重装備で追い払う、ただし運用責任が重くなる

プロジェクトでは、総重量約60kg級の四足歩行ロボットを活用し、最大30kgの荷重を生かして大型スピーカーや強力フラッシュライトを搭載する構想を示した。赤外線サーマルカメラ（熱を捉えるカメラ）で夜間の熱源を検知し、危険な近距離対応を避ける。河川敷の藪で熱源を拾い、音と光で生活圏から遠ざける、といった使い方が想定される。

ただ、追い払いは強度を誤ると安全側に倒れない。住民が近い場所での威嚇は、クマを刺激する懸念もあり、誤検知や通信断が起きた場合の責任分界も難しい。論点は「ロボットができるか」より、「誰がいつ、どの条件で動かすか」に移る。Highlandersは里山環境での実証を本格化し、効果的な威嚇や運用モデルを固めた上で標準化と全国展開を目指すとしている。

参考・出典

• クマ被害ゼロを目指して。国産ロボットで人を守る「KUMAKARA MAMORU」プロジェクト始動|Highlanders, Inc. | 株式会社Highlandersのプレスリリース
• Highlanders Inc、クマ被害ゼロを目指して。国産ロボットで人を守る「KUMAKARA MAMORU」プロジェクト始動 – DRONE
• Highlanders、AI搭載四足歩行ロボット「HLQ Pro」ベータ版を提供開始 – ドローンジャーナル
• HLQ AIR | 株式会社Highlanders
• 「国産四足歩行ロボ」でクマを追い払う スタートアップが新プロジェクト「KUMAKARA MAMORU」開始 – ITmedia AI+