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暗号資産ビットコイン相場が1日、節目とされてきた9万ドルを再び下回った。2021年の暴落期以降で最も厳しかった11月の下落の延長線上にあり、株式などの高リスク資産から資金が抜ける流れが鮮明になっている。直近では1日だけで6％安と値を崩し、日々の値動きに向き合う個人投資家の心理も揺さぶられている。
急落局面で問われる個人投資家のリスク許容度
ビットコインは1日時点で約8万5,788ドルと、前日から6％下落したうえ、一時は8％安まで売られた。11月につけた約8万0,553ドルという8か月ぶりの安値に接近しており、多くの投資家が「どこまで保有を続けるか」という判断を迫られている。レバレッジ取引を利用していた層では、追証や強制ロスカットを意識せざるをえない状況だ。
一方で、暗号資産取引が広がったことで、少額から長期で積み立てる個人も増えている。彼らにとっては、短期の急落が必ずしも即座な売却理由にはならないが、「将来値上がりするはず」という期待だけで保有を続ければ、資金計画全体が崩れかねない。家計の中でどの程度まで値動きの大きな資産を組み込むかという、リスク許容度の見直しが問われている。
今回の下落は、暗号資産だけの問題ではない。株式市場でも高成長株や新興企業への売りが広がり、投資家全体がリスクを取りにくい局面にある。金利や景気の先行きへの不安が高まると、値動きの激しい資産から現金や安全資産へ資金が移る構図が過去にも繰り返されてきた。ビットコインの急落は、その流れの一部として起きている側面が強い。
マクロ環境と今後のシナリオ、個人が備えるべきこと
11月のビットコイン相場は、2021年の急落時以来で最も大きい下げ幅となった。背景には、世界的な金利動向や景気減速への懸念、各国の規制強化の議論など、マクロ要因が重なっている。こうした不確実性が高まると、機関投資家もポジションを縮小しやすくなり、暗号資産市場全体の値動きを増幅させる構図が生まれる。
相場の先行きとしては、11月の安値である8万ドル前後が一つの節目と意識される一方、それを割り込めば下げが加速する可能性もある。過去には、心理的な節目を割ったあとに急速な戻り相場となった例もあり、短期の値動きを正確に当てることは困難だ。個人投資家にとって重要なのは、値動きそのものを予想することではなく、自身の投資期間や損失許容額をあらかじめ定めておくことだろう。
暗号資産は24時間取引され、ニュースやSNSの情報が瞬時に価格を動かす。値動きに振り回されて睡眠時間を削れば、冷静な判断はますます難しくなる。預金や株式、投資信託など他の資産とのバランスを意識し、万一価格が半分になっても生活に支障が出ない水準にとどめるといった、現実的なラインを決めておくことが、急落局面で心を守る最低限の備えになる。
