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イングランド・プレミアリーグのブライトンが、旧日本軍将校の写真が印刷されたボードを手にする日本代表MF三笘薫の画像をSNSに投稿し、中国のサッカーファンから強い反発を受けている。クラブは投稿を削除し、中国のファンに向けた謝罪文も公表したが、戦争の記憶をめぐる溝の深さが改めて浮かんだ。
戦争の記憶に触れた一枚が、ファンの日常を揺らした
問題となったのは、クラブのアカデミー公式Xが11月下旬に載せた1枚の写真だ。三笘とユース選手が並び、国際大会への参加を伝える投稿の中で、それぞれが旧日本軍少尉・小野田寛郎の顔写真を印刷したカードを手にしていた。少年サッカーの晴れやかなショットとして企画されたはずの場面が、意図せぬ歴史の象徴になってしまった。
この画像が中国のSNS・微博で拡散すると、「侵略の加害者をたたえている」といった批判が相次いだ。日本軍による戦争で多くの市民が犠牲になった歴史は中国社会で今も意識されており、旧日本軍の軍人を肯定的に見せる表現には、意図の有無にかかわらず強い反発が起きやすい。スタジアムで同じクラブを応援してきたファンの間にも、戸惑いが広がった。
一部のサポーターからは、クラブや日本人選手との契約を見直すべきだとの声も出た。プレミアリーグのチームが中国のファンに謝罪したという話題は、試合結果とは別にSNSのタイムラインを占め、クラブを身近に感じてきた人々の信頼を揺らしている。日常の娯楽であるはずのサッカー観戦が、突然、家族の記憶や教科書で学んだ歴史と結びついてしまったからだ。
中国以外からも広がる違和感と、過去の炎上との共通点
小野田は太平洋戦争終結後もフィリピンの島で投降せず、1970年代まで現地住民を巻き込むゲリラ活動を続けたとされる人物だ。中国だけでなく、植民地支配を経験した韓国のメディアは歴史認識の欠如を厳しく指摘し、戦場となったフィリピンの利用者からも「まず被害国に向き合うべきだ」との声が報じられた。どの国から見ても、写真の人物は単なる「昔の軍人」ではない。
スポーツ界では近年、クラブのSNS投稿が歴史や人種に関わる無神経さで批判される例が相次いでいる。欧州の別クラブでは、選手のポーズが差別的だと受け止められ、写真を削除して謝罪したこともあった。今回の件も、悪意の有無よりも結果として誰を傷つけたかが重く問われる構図は同じだ。
ブライトンのアカデミーは、投稿は誤りであり、中国のファンを不快にさせる意図はなかったと説明している。しかし、謝罪文が主に中国だけに言及したことで、戦争被害が広がった他地域を軽視しているとの見方も出た。短い文面が、アジア各国の歴史教育や国内世論という文脈の中で読み解かれ、クラブが想定していなかった政治的意味を帯びている。
グローバルクラブは、ファンと歴史のどちらにも向き合えるか
世界中にファンを持つクラブにとって、SNSは支持を広げる重要な窓口だが、その運用は本拠地の少人数のチームに任されていることも多い。欧州中心の感覚だけで「面白い」と判断した企画が、アジアでは植民地支配や戦争犯罪を想起させる場合もあり、歴史認識の差を埋める仕組みの弱さが浮き彫りになった。グローバル展開が進むほど、背景知識の共有は欠かせない。
三笘薫選手が、人物の背景をどこまで理解していたかは分からない。それでもクラブの象徴として起用された以上、海外のファンにとってはクラブと選手を切り離して受け止めることは難しい。ピッチでの活躍とは別に、イメージ戦略が本人の意思を超えて政治的意味を帯びる危うさが、今回の騒動で改めて示された。
クラブが信頼を回復するには、アジア出身スタッフを含むチェック体制や、歴史と差別を学ぶ研修など、地道な改善が欠かせないだろう。勝敗だけでなく価値観も問われる時代に、ファンが安心してクラブを応援できるかどうかは、こうした小さな判断の積み重ねに左右される。
