国境紛争の緊張高まる中　カンボジア側がタイとの即時協議に前向き姿勢

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2025.12.10

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カンボジアのフン・マネット首相の上級顧問スオス・ヤラ氏が9日、激しさを増すタイとの国境紛争を終わらせるため、ただちに二国間協議を始める用意があると表明した。ただしタイ軍は8日に国境沿いで空爆を開始しており、7月に米国などが仲介した停戦合意の行方は再び揺らいでいる。砲撃が続く中、住民の不安を前に「今すぐ話し合える」というメッセージは届くのかが問われている。

市民をよぎる不安と、届かない対話の呼びかけ

タイとカンボジアの国境では、砲撃や空爆が2日連続で続き、両国あわせて十数人が死亡し、数十人が負傷したと報じられている。国境に沿って点在する村や町では、これまでに数十万規模の住民が避難を強いられ、学校や市場が閉鎖されるなど、日常生活は大きく乱れている。遠く離れた首都から届けられる「協議に応じる用意」という言葉は、そうした現場の混乱をどこまで和らげられるのか見通せない。

今回の戦闘は、7月に米国のトランプ大統領やマレーシアのアンワル首相が仲介した停戦合意、10月の共同宣言を経てもなお、火種がくすぶり続けていたことを浮かび上がらせた。複数の国や国際機関は自制と対話を呼びかけているが、前線では再び重火器の応酬が始まり、人々は年内に2度目となる避難生活に追い込まれている地域もある。停戦が文書の上だけで終わるのか、それとも現場の静けさとして取り戻せるのかが焦点になっている。

和平の条件を巡るタイとカンボジアの溝

ヤラ氏はロイターのビデオインタビューで、もし双方が同意すれば「1時間後」にでも協議の席に着く準備があると強調した。ただし、カンボジア側から一方的に呼びかけることはせず、あくまで「双方の善意」が前提だとも述べている。停戦違反を否定しつつ、対話の意思は示すという二重のメッセージは、国内外に向けて自国の姿勢をアピールする狙いもあると受け止められる。

一方のタイ政府は、カンボジアが地雷の使用や砲撃で合意を破ってきたと主張し、戦闘が続く間の交渉入りを拒んでいる。国防相や外相は、まずカンボジアが攻撃をやめて誠意を示すべきだと繰り返し発言し、第三者の仲介にも慎重な姿勢を崩していない。両国とも「対話は否定しない」と語りながら、自国の正当性を前面に出した条件を掲げることで、実際の協議開始は遠のいている。

市民をよぎる不安と、届かない対話の呼びかけ

和平の条件を巡るタイとカンボジアの溝

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