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英王室は10月30日、チャールズ国王が弟アンドルー氏に対し「王子」を含む称号や栄誉の剥奪手続きを進めると発表したと一部報道が伝えた。王室の信用失墜を避ける狙いとみられ、同氏は公務復帰の余地を失い、居住先の見直しも迫られる見通しである。
発表の骨子と経緯
30日の発表では、アンドルー氏が今後「Andrew Mountbatten-Windsor」を名乗り、従来の称号や関連する名誉・叙勲の使用をやめる手続きに入ったとされる。現時点で確認されている範囲では、王宮が決定を確認し、王室の名における一切の公的役割から切り離す方針を明確にしたと報じられている。
これに先立ち、10月17日には当人が声明を公表し、国王と家族と協議のうえ、これまで与えられた称号や栄誉を今後は用いない考えを示していた。さらに2022年1月には、軍属ポストと王室後援の多くが返上され、公務には戻らない方針が示されており、今回の決定は段階的対応の最終局面とみられる。
一部報道によれば、居住していたウィンザー近郊の邸宅「Royal Lodge」からの退去手続きも進められ、私的な住居への移転が求められるという。称号と居所の双方で厳格な措置が重なり、王室としての関係性の線引きをいっそう明確にする狙いがうかがえる。
背景にある疑惑と過去の対応
背景には、米富豪ジェフリー・エプスタイン受刑者（故人）との交友や、未成年者への性的虐待を巡る疑惑がある。アンドルー氏は一貫して不法行為を否定しているが、2019年のテレビインタビュー以降、説明への疑問と批判が広がった。2022年には被害を訴えた女性との民事訴訟が和解で終結し、法的争いは収束したものの、社会的な不信は長く尾を引いてきた。
王室はその後、氏を公務から遠ざけ、称号や役職の見直しを進めてきた。現時点で確認されている範囲では、今回の手続きは「王室全体の名誉と活動を守る」という観点が前面に出ており、個人の名誉回復よりも組織の信頼維持を優先した判断と受け止められている。近時の世論動向や報道の厳しさも、最終判断を後押ししたとみられる。
一部報道は、国王が療養や公務の合間を縫い、家族の支持を得て決断したと伝える。王室に対する説明責任や透明性を求める声が強まるなか、王族の私的行為が公的信用に及ぼす影響を最小化する意志が明確化した格好である。今回の措置は、英国の近代王制においても前例が少ない強いメッセージといえる。
今後の呼称・居住・波紋
呼称面では、氏名表記を「Andrew Mountbatten-Windsor」に改め、王子や公爵といった称号やそれに付随する敬称の使用をやめるのが基本線となる見通しである。公的行事や慈善団体の名義利用も制限され、王室の公式活動への関与は実質的に終止符が打たれるとみられる。
居住については、長年住んだRoyal Lodgeからの退去が注目される。報道によれば、王室財産の管理や住居の維持費負担を巡って以前から懸案があり、今回の決定により整理が進む可能性が高い。移転先は私的な住まいが想定され、王室施設から距離を置く生活への転換が進むだろう。
一連の動きは、王室の統治観や危機対応の在り方にも影響を与える。疑惑の渦中にいる個人と組織の切り分けを明確にし、被害者への配慮を示すことで、長期的な信頼回復を図る狙いがある。現時点で確認されている範囲では、王室は沈静化を急ぐ姿勢を強めており、社会の反応を慎重に見極める局面が続くとみられる。
