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覆面姿の捜査官がピックアップトラックの窓を割り、運転席の男性を引きずり出す映像が、ソーシャルメディアで広がっている。ノースカロライナ州シャーロットで、連邦当局が不法移民の摘発を強化し、15〜16日の2日間で130人以上を拘束したとされる作戦だ。街では高校生が授業をボイコットして抗議に立ち上がる一方、市長らは住民の権利をどう守るか、難しい舵取りを迫られている。
シャーロットで広がる摘発 130人超拘束と住民の不安
米税関・国境警備局（CBP）の報道官は17日、シャーロットでの不法移民摘発で、15〜16日の2日間に不法滞在の疑いで130人以上を拘束したと明らかにした。トランプ政権が掲げる大規模な移民送還方針の一環で、犯罪歴のある不法滞在者を徹底的に摘発する姿勢を前面に出したものだと受け止められている。
報道官は、犯罪歴のある不法滞在者を全員逮捕し国外に送還するまで、法の執行を緩めるつもりはないと強い口調で語った。ただし、17日の拘束状況や今後の見通しには触れず、作戦がいつまで続くのかも明らかにしなかったため、「次は自分や家族かもしれない」と不安を抱く住民もいる。
ローリーへの波及懸念 自治体と連邦政府の距離
同じ州内で2番目に大きい都市ローリーでは、カウエル市長（民主党）が、摘発の動きはローリーにも及ぶ可能性が高いとの見方を示した。ただ、市警は連邦当局の計画に関与していないと説明しており、地域社会を守りたい自治体と、送還を急ぐ連邦政府との距離感が浮き彫りになっている。
シャーロットのライルズ市長（民主党）は、すべての住民の憲法上の権利を守らなければならないと述べ、市当局として摘発の影響を受けた人を支援するため、複雑な法的制約の中で対応を模索しているとした。連邦政府に従うだけではなく、地域の実情を踏まえた支援策をどう組み立てるかが、地方行政の大きな課題になっている。
拘留要請1400件と高校生デモ 揺らぐ日常
国土安全保障省は今回の作戦について、移民当局が求めた容疑者の拘束をノースカロライナ州当局が拒んだことが背景にあると説明している。移民当局は、逮捕された移民を通常より最長48時間長く拘束するよう州側に約1400件の要請を出していたが、履行されないケースが続いていたという。連邦側は「治安確保のための正当な措置」と主張する一方、州や自治体には、住民との信頼関係が損なわれるとの懸念も根強い。
17日のシャーロットでは、高校生が授業を抜けて平和的な抗議デモに参加し、街頭では家族連れが静かにプラカードを掲げた。教室や職場と隣り合わせの場所で、移民政策をめぐる綱引きが続いている。割れたトラックの窓ガラスの破片のように、日常の風景の中に細かなひびが入り始めていると感じる人も少なくないだろう。
連邦と地方の思惑が交差するなか、市民の日々の暮らしの静けさをどう守るのかが、いま静かに問われ続けている。
