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中国の国有企業が関わる大型無人機の飛行試験が相次いだ。国営新華社通信は2025年12月11日、大型無人機「九天」が初の飛行試験を終えたと伝えた。続いて中国の国営メディアは12月15日、ステルス性をうたう大型無人機「彩虹7（CH-7）」の試験飛行を報じた。機体の大きさだけでなく、「スウォーム」での運用や長時間の監視が、周辺の防空・警戒の設計にどう響くかが焦点になる。
防空側に増える「相手の手数」
九天は全長16.35メートル、翼幅25メートル、最大6トンの積載をうたう。中国側の説明では、胴体内に小型無人機を多数収容し、目標に近い空域でまとめて放出する「母機」としての使い方も想定する。もし約100機規模の自爆型ドローンを同時に飛ばすなら、迎撃側はレーダー上の目標が一気に増え、短時間で優先順位を付けて対処する手間が増える。
共同通信の配信記事では、航続距離が20〜30キロ程度とされる小型機でも、母機で運べば攻撃圏を広げられるという見立ても紹介されている。九天は航続距離7000キロ、飛行時間12時間も掲げる一方、現時点で確認できるのは試験飛行の段階だ。群れ運用（スウォーム=多数を同時運用）は通信や自律制御が要で、実戦的な統制がどこまで可能かは、今後の試験や運用の情報を待つ部分が大きい。
彩虹7が示す「見えにくい監視」
彩虹7（CH-7）は、中央テレビ系の映像で「高空高速長航時」と紹介され、飛行試験の実施が報じられた。ステルス（レーダーに映りにくくする設計や処理）を前面に出す機体は、迎撃よりも先に「発見と追尾」が難題になりやすい。例えば、海上交通路や基地周辺の上空で長時間の監視を続けられれば、部隊の移動やレーダー運用の癖を探る用途にも結びつく。
論点は、個々の機体性能だけではない。九天は航空機製造を担う中国航空工業集団（AVIC）に関わる案件とされ、彩虹7は中国航天科技集団が手がけると報じられている。別々の系列が大型無人機を並行して前に出すことは、偵察・打撃・群れ運用を「組み合わせ」で使う発想と相性がよい。一方で、長距離・長時間の運用ほど衛星通信やデータリンクへの依存が増え、電波妨害などの対抗手段も焦点になる。周辺国は迎撃能力に加え、電子戦や基地防護の運用負担をどう配分するかの選択を迫られそうだ。
