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薄暗い上院の廊下に足音だけが響いた。2025年10月9日未明、与野党それぞれのつなぎ予算案は相次いで票決にかけられたが、いずれも必要な支持を集め切れずに退けられた。10月1日から続く政府の一部閉鎖は、終わりの糸口をつかめないまま長期化の色を強めている。何が壁になっているのか、数字が物語るものは少なくない。
票決の数字が映す対立の深さ
最初の山場は2025年10月9日 01:12に訪れた。上院はS.2882（民主党主導のつなぎ予算案）への「動議に進むための討議終結（クロージャー）」を採決したが、賛成47、反対52、欠席1で否決となった。討議終結には原則60票が必要であり、過半の賛成でも前に進まないという制度の壁が立ちはだかった格好である。
続く2025年10月9日 01:52、今度はH.R.5371（下院可決済みの共和党案）に進むための討議終結を採決した。結果は賛成54、反対45、欠席1で、こちらも必要な60票に届かず不成立となった。両案とも「前に進む」ための手続き段階で足止めされ、上院は議事の入口で互いに譲らない構図が鮮明になったと映る。
両案の性格も対照的だ。S.2882は10月末までの政府資金手当てに加え、医療保険のプレミアム税額控除の恒久化やメディケイド関連の上積みなど政策項目を抱き合わせた。一方のH.R.5371は11月21日までの延長に主眼を置き、連邦当局者の警備強化費などを含むが、比較的「期間の延長」に比重が置かれた設計といえる。誰に有利なのかという問いが、ここで浮かぶ。
止まる現場、にじむ疲労と次の一手
政府の会計年度は10月1日に始まる。歳出法が間に合わなければ業務は止まる。その原則どおり、開始以降は各機関で停止や縮小のアナウンスが広がっている。たとえば連邦政府の監査を担う会計検査院（GAO）は入札抗議制度の電子窓口を停止し、申立てや審理の期限を一時凍結すると告知した。公共調達の歯車が回らなくなる現実は、企業と行政の双方に重くのしかかっているとみられる。
議場の外でも疲労はにじむ。政策を抱き合わせる民主党案と、期間延長を前面に出す共和党案。どちらも「政府を動かす」目的は同じだが、優先順位の違いが妥協を遠ざけている。上院は今後も再考の動議や修正の道を模索する公算が大きいが、60票という閾値を越える合意の形はまだ見えない。閉鎖が長引くほど現場の停止は積み重なる。偶然の行き違いなのか、それとも必然の選択なのか。次の一手が問われている。
