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秋の風が吹き抜ける国会前に、慌ただしさが戻ってきた。与党の代表選から半月余り、臨時国会が２１日にようやく動き出す見通しだ。一方で、次の首相を選ぶ首相指名選挙の具体日程は固まらず、経済対策を裏付ける２０２５年度補正予算の年内成立にも影が差す。政治の段取りと暮らしの時間がせめぎ合う局面である。
国会召集の遅れが連鎖を生む
内閣は１５日に臨時会の召集を決定し、衆参両院へ通知する手続きを進めることを決めた。形式としては一歩前進だが、召集そのものが後ろにずれ込んだ分、会期運営の余白は細り、与野党の調整は一段と難しくなる。決定の文言が淡々としているほど、現場の慌ただしさが浮かぶ。
現時点で確認されている範囲では、与党は２１日召集を軸に首相指名選挙の早期実施を求めているが、野党側は政権枠組みや国会対策の協議が続いているとして慎重姿勢を崩していないとみられる。与野党の「どこまで急ぐか」を巡る温度差が、初動のつまずきとして表面化している。
代表質問の時期も読みにくい。与野党協議が長引けば、代表質問は１１月４日以降へ先送りされる可能性が高まり、所信表明から審議入りまでのリズムが崩れる。限られた日程の中で焦点法案や経済対策の優先順位をどう配するか、会期設計の妙が問われる展開である。
首相指名と外交、分刻みの段取り
次の政権の発足が遅れれば、月下旬に予定される日米首脳会談など外交日程の準備にも波紋が広がるとみられる。国内の政権移行と対外日程のすり合わせは一体であり、内閣の空白や手続きの遅延が調整力の低下と映る。政治日程の一つひとつが、外に向けたメッセージでもある。
分水嶺は首相指名選挙の実施日だ。２１日に実施できれば、その日のうちに組閣、人事の認証といった儀式を一気に走り切る段取りが描ける。逆に先送りとなれば、所信表明や代表質問、各委員会の人選まで波及し、与野党の駆け引きは長期戦の色合いを強める。時間は味方ではない。
国会全体のカレンダーもタイトさを増す。今年は夏にごく短い臨時会が開かれており、秋の臨時会は年末の予算編成作業と重なりやすい。審議の遅延が翌年度予算の編成にも影を落としかねず、政治の段取りが行政の実行力へと直結する現実が突きつけられている。
補正予算の年内成立は綱渡り
新首相の下で、経済対策と２０２５年度補正予算案の取りまとめを直ちに指示する流れが有力視される。もっとも、策定指示から国会提出までには各省庁の査定や与党手続きなどで一定の時間を要するのが通例で、提出時期は１１月下旬から１２月にずれ込みかねない。時計の針は速い。
少数与党のままなら、採決には野党の賛成が欠かせない。仮に連立が組まれたとしても、提出前に連立相手との政策摺り合わせは不可避で、歳出の優先順位や物価・賃上げ支援の設計を巡る協議は詰めが要る。政治の「攻め」と「守り」の線引きをどう描くかが、成立の鍵を握る。
一方で、１２月下旬には翌年度予算案の編成が控える。年末進行と重なる臨時国会で議了できなければ、補正の執行は年度内に間に合わない恐れもある。会期のやりくり、与野党協議、外交との両立——その全てが同時並行で進む。永田町には、時間と現実が迫る空気が濃く漂っている。
