福岡県那珂川市のアドウェルズがDMB接合装置を製品化し受託接合開始

国産「DMB接合」装置が本格始動 脆い基板も常温で安定実装へ

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超音波が走り、基板同士がわずかに沈む。アドウェルズ(福岡県那珂川市、中居誠也社長)が開発した接合技術「DMB(ドット・マトリックス・ボンディング)」を載せた装置が製品化された。一辺40 mm、厚さ3 mmの基板を常温で接合し、割れやすい素材も扱えるという。那珂川市内に新工場を整え、受託接合も始めた。パワー半導体の実装を支える国産の選択肢が増えた。

超音波で点を面に変える

DMBは、微細な突起をもつ銅やアルミのシートを接合材の間に挟み、超音波の振動で多数の“点”を同時に起点化してつなぐ工法だ。接合起点が面内に分散するため、必要な荷重や出力を抑えつつ、樹脂封止品など壊れやすい対象にもダメージを与えにくい。パワー半導体(電力を制御する素子)の実装に求められる低ストレス化に応える。

同社は、この工法を装置化して、広さ20〜30 mm級の領域を均一に結合できると説明する。常温での接合は基板の反りを抑え、モジュールの平坦性維持に寄与する。一辺40 mm、厚さ3 mmの基板同士も対象にでき、放熱板やベース基板など熱拡散を担う部材の一体化に生かす設計だ。

はんだやシンタリングに比べ、表面傷を避けやすいフラットホーンでの処理が可能で、突起が初期密着を助ける。公表資料では、接合材料間の熱伝導率がはんだ接合比で大きく向上する例も示される。温度負荷や機械負荷の制約が厳しい場面で、代替だけでなく補完の選択肢として広がりがある。

装置と拠点、使い方まで寄り添う

装置は電子部品メーカーへの提案を主眼に、素材の破損リスクが高い部位や試作段階の貼り合わせ需要を狙う。複合材料やセラミック基板、モールド済みデバイスなど“扱いにくい相手”ほど、低荷重・常温の利点が際立つ。既存の工程に入り込みやすいよう、評価・条件出しの支援もパッケージ化した。

那珂川市内には新工場「アドバンストアプリケーションセンター」を整備した。同社による説明では、2階建てで延べ約460㎡、評価用の測定器やショールーム、会議室を備える。投資額は約2億5000万円。ここに装置を据え、量産条件の確立から小ロットの受託接合まで一体で引き受ける体制を敷き、導入の初期ハードルを下げる。

九州の半導体関連集積に近い立地は、試作と量産立ち上げの往復を速める。顧客は実機でのサンプル作成や耐久評価を短いサイクルで回せ、社内設備を持たない段階でも歩留まりの傾向をつかみやすい。装置販売と受託の両輪で、工法の適用領域を丁寧に拡張していく構えだ。

熱と応力の現場で生まれる余地

車載や産業機器の高出力化で、パワー半導体の発熱と機械応力の管理は厳しくなっている。材料そのものが高硬度・脆性化するほど、接合は一段と難度を増す。DMBは、面内で多数の起点が働くことで応力集中を抑え、熱の通り道を確保する発想だ。はんだや焼結との最適配置を探る余地は広い。

一方で、装置導入には評価時間と工程設計の手間が伴う。そこで同社は、拠点での検証と受託を前提に、実サンプルを通じた“見える化”で導入判断を後押しする。常温・低荷重ゆえの形状自由度や再現性をどこまで担保できるかが、採用拡大の鍵になる。用途別の標準条件づくりも急ぐ。

事業面では、接合装置の売上を2025年6月期の約4億円から3年後に8億円へ伸ばす計画を掲げる。パワー半導体や電子部品の領域で、まずは脆弱材や大型部材の結合を切り口に実績を積む方針だ。装置・受託・アプリケーション提案を組み合わせ、収益の波を均す運びを描く。

重ねた基板の隙間に生まれた微小な接合点が、次の製造の輪郭を静かに示している。

参考・出典

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