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広島県呉市の造船所で、新しいばら積み貨物船が岸壁を離れた。ジャパンマリンユナイテッド(本社・横浜市西区)が2025年10月17日に引き渡した「DUCHESS MAGNOLIA」だ。独自の省エネ技術を盛り込み、より多くの貨物を運びながら燃料消費と環境負荷を抑える次世代型として、これからの海上輸送の主役候補に名乗りを上げている。
ジャパンマリンユナイテッド、新型船を呉事業所から世界へ
ジャパンマリンユナイテッドは2025年10月17日、広島県呉市の呉事業所で建造していた次世代省エネ型バルクキャリア「DUCHESS MAGNOLIA」を完成させ、船主に引き渡した。同社は横浜市西区に本社を置き、広瀬崇社長のもと、省エネルギー性能を高めた商船のシリーズ展開を進めている。この船もその流れの中で生まれた1隻であり、石炭や穀物など大量輸送を担う実務的な船だが、最新設計を詰め込んだ意欲作でもある。
船体は全長226.17m、幅32.26m、深さ20.20mのばら積み船で、鉄鉱石や石炭などの乾貨物を大量に運ぶことを想定している。載貨重量は82,312tと同クラス船の中でも高い水準にあり、1回の航海で運べる積み荷を増やすことで輸送効率の向上を図っている。港湾設備の制約に配慮しながら積載量を高める設計は、造船所側の経験の蓄積が表れた部分といえる。
定員は25名で、乗組員が長期間生活する居住区画には、騒音や風圧を抑える構造が採用されているとされる。機関室では大型ディーゼル主機が静かに回転し、その力を効率よく推進力へ変えるための工夫が随所に施されている。航海速力はおよそ14.5ノットで、過度なスピードを追わずに燃費と経済性を重視した働き方を前提とした船といえる。
独自の省エネ技術で環境規制と経済性に応える船
DUCHESS MAGNOLIAは、同社が長年手がけてきたパナマックス級バルクキャリアを発展させた「Jシリーズ82,400DWT型」の1隻で、シリーズ19番船に位置づけられる。船体寸法は従来船とほぼ同じまま、構造強度に関する国際的な共通規則やNOx排出規制TierIIIなど、最新の基準に合わせて設計されている。環境面の条件が厳しくなる中でも、運航コストを抑えながら採算を確保することが求められる世代の船だ。
設計の要となるのが、同社独自の省エネデバイスである。プロペラ前方の流れを整える「Super Stream Duct」や、船首側の球状構造「SURF-BULB」、舵周りの「ALV-Fin」などを組み合わせ、水の流れのロスを減らして推進効率を高めている。目に見えにくい部分の形状を最適化することで、同じ出力でも必要な燃料を抑えつつ、先述のような高い積載力を両立させている点がこの船型の特徴だ。
温室効果ガスの排出性能を示すEEDI(エネルギー効率設計指標)では、強化されたPhase2水準を達成しているとされ、省エネ仕様が国際的な評価基準にも適合する水準にあることがうかがえる。こうした性能を備えた船がシリーズとして続けて建造され、一般的な貨物船の新標準になっていくことは、海運業全体の低炭素化が着実に形になりつつあることを静かに示している。