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2025年11月10日、偽造した運転免許証を使った受け取り役として動いていた中国籍の男が逮捕された。埼玉県川口市の派遣社員、リー・ジョンイエ容疑者(30)。有印公文書偽造の疑いでの立件で、偽サイト経由で集めた個人情報を基に本人になりすまし、局留めなどで商品を引き取っていたとみられる。京都での不正受け取りでの逮捕が続いた流れの中で、警察は匿名・流動型の中国人グループ「トクリュウ」の一端とみて全容解明を進めている。
偽造は自宅で、受け取りは局留め
容疑の中心は、自宅で作られた偽の自動車運転免許証だ。リー容疑者は何者かと共謀し、券面の体裁や印影を模した身分証を用意したとされる。有印公文書偽造(公の証明文書に虚偽の内容や公印の印影を作る罪)に当たる疑いで、取り調べに対し容疑を認めている。警察は偽造の具体的な手順や使用機材の入手経路を丁寧に積み上げている。
グループの動きは単純で速い。偽サイトを用いたフィッシング等で他人のクレジットカードや免許証の情報を不正取得し、ネットでパソコンやカメラを注文。配送先を郵便局や配送会社の営業所止めに変更して、窓口で偽造身分証を提示して受け取る。こうして、名義人の玄関先に届く前に商品が抜き取られる仕組みだ。
容疑者は同様の偽造証を使って市内で荷物を受け取った詐欺でも逮捕されており、重ねての立件となった。警察は指示役の特定、資金の流れ、偽造素材の調達網を広域で追っている。受け取りの現場、通販サイト、金融の各ポイントが細くつながる線を、ひとつずつ可視化していく作業である。
匿名・流動型「トクリュウ」とは
警察が言及する「トクリュウ」は、匿名・流動型犯罪グループ(匿流)を指す通称だ。固定の拠点や序列に依存せず、中国語圏を含むSNSで短期の実行役を募る特徴がある。近年は国内各地で同種の摘発が続き、外国籍の関係者が関与する事案が確認されている。役割は分業化され、連絡は使い捨てのアカウントやチャットで完結する。
手順はおおむね定型だ。情報の窃取、不正注文、受け取り、転売へとバトンが渡り、各役割の接点は最小限に抑えられる。本人確認は窓口での券面照合が中心で、精巧な偽造が混ざると識別が難しい。身分証の偽装と局留め・営業所止めの運用を組み合わせることで、足跡を薄める仕組みが温存されてきた。
広域化する不正と現場の課題
オンラインの注文と対面の受け取りが交わる地点に、確認の“隙間”が生まれる。局留めや営業所止めの窓口では、担当者が短時間で真贋を見極めねばならず、顔写真や氏名が一致して見える合成型の偽造は見落としやすい。負担は現場に集中しやすく、巧妙化の速度に制度が追いつきにくい状況が続いている。
今年の道内の摘発では、同系統の手口で中国籍の関係者が相次いで逮捕され、警察は「氷山の一角」と受け止めた。今回の一件でも、北見の被害申告から受け取り役が浮上し、別地域に住む容疑者の特定へと線が伸びた。被害が広域に連なる構図は、地域の境界とは無関係に続いている。
被害の連鎖を断つには、通販事業者と配送、発行体、捜査当局の連携が要となる。受け取り時の本人確認の高度化や、疑わしい注文の早期検知と共有の枠組みを、現場の負担を増やしすぎないかたちで整えることが重要だ。動きは出ているが、変化の兆しは、まだ小さい。
窓口に置かれた一枚のカードに、流れを変える重さが静かに宿っている。
