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外国人の土地取得からAIやアニメ産業まで、幅広いテーマがひとつのテーブルに並んだ。17日、小野田紀美経済安全保障担当相が報道各社のインタビューに応じ、外国人との共生や重要鉱物の供給網など、担当分野にまたがる課題への考え方を語った。土地取引の実態把握に向けた新たな仕組みづくりや、クリエイターの取引環境を見直す指針の策定など、今後の政策の方向性を示す内容となっている。
外国人による土地取得を可視化へ、小野田氏が仕組みづくり急ぐ考え
インタビューで小野田氏は、外国人による土地取得について「実態を十分に把握できていないことが最大の課題だ」との認識を示した。どこで誰がどのような目的で土地を取得しているのかが見えにくい現状を問題視し、早期に状況を把握できる仕組みを整える必要があると強調した。そのうえで、制度設計の方向性を来年1月ごろまでに示せるよう、検討を加速させる意向を明らかにした。
土地や不動産の所有状況は、地域の安全やインフラ整備と密接に関わる。防衛関連施設や重要インフラ周辺の土地取引をどう確認するかは、各国で議論が続くテーマでもある。小野田氏は、こうした国際的な動きも踏まえながら、日本としても過度な制限に走らず、まずは実態を見える形にすることが出発点になるとの考え方をにじませた。規制の是非を議論する前に、現状を把握するための土台づくりを急ぐ構えだ。
人手不足と共生社会、外国人受け入れの「量」と「ルール」を両立させる狙い
外国人受け入れ全体の「総量規制」をどう考えるかという問いには、法務省との連携を前提に「平口洋法相と協力しながら、適切に対応を検討していきたい」と述べた。受け入れ人数をどのように管理するかは入管行政と密接に関わるため、関係省庁と足並みをそろえて議論を進める姿勢だといえる。ただし、この場では具体的な数字や制度案には踏み込まず、まずは連携の枠組みを確認するにとどめた。
一方で、深刻な人手不足の中で外国人労働者の活用が必要だという指摘について、小野田氏は「外国人との秩序ある共生社会」をキーワードに位置づけた。外国人を排除する発想とは一線を画しつつ、一部で見られる不法就労や違法行為には毅然と対処することが、国民の不安や不公平感を和らげることにつながると説明した。必要な人材に門戸を開くことと、ルールから逸脱する行為には明確に「ノー」を突きつけることは矛盾しないというのが、同氏の基本的なスタンスだ。
こうした考え方の背景には、同氏が「外国人との秩序ある共生社会推進」も担当していることがある。受け入れ拡大か規制強化かという二者択一ではなく、受け入れる側と来日する側の双方が守るべきルールを整理し、違反行為への対処を明確にすることで、結果として受け入れ基盤を安定させようとする発想だ。外国人材の活躍と生活者としての安心を両立させられるかが、今後の制度設計の焦点になっていく。
重要鉱物からAI、アニメ産業まで広がる経済安保の課題
経済安全保障担当相として、小野田氏は重要鉱物のサプライチェーン強化にも言及した。電気自動車用電池や先端半導体などに欠かせない鉱物資源を安定的に確保するには、「同盟国や価値観を共有する国々との連携が不可欠だ」とし、鉱山開発や精錬設備への出資、助成金を通じた支援を組み合わせることで、代替となる供給源の確保を加速させたいと述べた。特定の国や地域に偏った依存を減らし、危機時にも途切れにくい供給網をつくることが狙いだ。
人工知能については、急速に普及する一方で、誤情報や差別的な判断が生まれる懸念も指摘されている。こうした中で小野田氏は、AIの透明性や公平性、安全性を確保し、社会の不安を和らげる必要性を挙げた。どのようなデータが使われ、どんな仕組みで結果が導かれているのかをできる限り明らかにし、偏った判断や思わぬ事故を防ぐことが、技術を安心して活用する前提になるという考え方だ。
アニメや漫画など、いわゆるコンテンツ産業も同氏の担当分野だ。小野田氏は、クリエイターの待遇が産業全体にとって深刻な課題だとしたうえで、今後、クリエイターの取引環境に関する実態調査の結果を公表すると説明した。その結果を踏まえ、公正な競争を確保する独占禁止法の考え方を整理した指針を策定する予定だとし、制作現場と企業の力関係が偏りすぎないよう、ルール面からてこ入れする構想を示した。創作の担い手が適切に報われる環境づくりを進めることで、日本発コンテンツの成長力を高めたい考えだ。
インタビューの終盤では、高市早苗首相との関係にも話が及んだ。小野田氏は、自身が地方議員だったころから高市氏を「一方的に推してきた」と振り返り、今も同じ思いを共有していると信じていると語った。政治家として目指す方向性が重なっているという実感は、経済安全保障や共生社会づくりといった長期的なテーマに取り組む際の支えにもなっているようだ。
