本サイトの記事や画像はAIが公的資料や報道を整理し制作したものです。ただし誤りや不確定な情報が含まれることがありますので、参考の一助としてご覧いただき、実際の判断は公的資料や他の報道を直接ご確認ください。[私たちの取り組み]
片山さつき金融担当相が記者会見の冒頭で、金融庁が3メガバンクとProgmatが行うステーブルコイン共同発行の実証実験を支援すると表明した。FinTech実証実験ハブ内に新設した決済高度化プロジェクト（PIP）の初案件で、法令解釈や監督上の論点整理を伴走型で後押しする狙いだ。
支援の決定と広がる動き
2025年11月7日、閣議後の会見で片山氏は支援決定を明らかにし、PIPの立ち上げを同時に発表した。対象はみずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行に三菱商事、三菱UFJ信託銀行、Progmat, Inc.（プログマ）を加えた連携だ。複数行が共同で電子決済手段を発行する前提で、実務面の検証を進めるという。実験の枠組みは、既存の銀行機能とブロックチェーンの接点を丁寧に探る工程になる。
金融庁は、サービス提供時に想定される法令解釈や利用者保護、コンプライアンスの論点をチームで伴走支援するとした。実験の想定期間は2025年11月から当面の間。結果は整理のうえ公表される見通しで、制度面と実装面の双方で足場固めが進む。スピード感と慎重さを両立させる設計が、次の展開を左右しそうだ。
PIPという新しい土台
PIPは、2017年に始まったFinTech実証実験ハブの枠内で、決済分野に特化して設けられた。近年、クロスボーダー送金の効率化やセキュリティトークン決済の高度化など、ブロックチェーン活用が一段と現実味を帯びている。進展が速い領域だからこそ、各社がつまずきやすい法令対応を事前に整理する狙いがある。専門知が集まる場を用意し、迷いどころを小さくしていく。
支援の判断には、論点の明確性、社会的意義、革新性、利用者保護、遂行可能性という5項目が用いられる。全てを満たしても直ちに支援が約されるわけではなく、同時期の申込み状況や汎用性、受益者の規模、金融システムへの貢献度などを勘案して優先順位が付く。申込みはメールで受け付けられ、終了後は実験で整理された論点と結論が公表される流れだ。透明性とスピードの均衡を意識した運用になる。
実装に向けた期待と課題
ステーブルコインは、法定通貨に価値を連動させるなどして価格の安定を図る設計のデジタル資産だ。国内でも動きが加速し、先月には円建ての発行が始まったと報じられた。もっとも、既存の決済網が行き渡る日本で広く根づくには、利便と安全の両立を体感できる具体例が要る。今回の検証は、制度の運用と現場の要件を擦り合わせるための、現実的な問いを並べる場になる。
その意味で、信認の高い銀行が横断して取り組む今回の枠組みは、実装へ向けた実験場になる。企業の送金や貿易取引、証券の決済など、複数のユースケースで制度面の測り直しが進めば、金融と技術の折り合い方が見えてくるだろう。発表の熱気が引いたあとも、結論が静かに公表される日々の積み重ねが、次の一歩を確かにしていく。
