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輸出の失速が、四半期の拍動を鈍らせた。内閣府が17日に公表した2025年7〜9月期の実質GDP（季節調整済み）1次速報は前期比0.4%減、年率換算で1.8%減。マイナスは2024年1〜3月期以来、6四半期ぶりだ。米国の高関税措置の影響が自動車を中心に広がり、外需の弱さが全体を引き下げた。
外需の逆風が映した7-9月の景色
公表は2025年11月17日 8:50。今回の減少は、24年初の落ち込みから続いた回復の流れにいったん陰を落とした。四半期の勢いを左右したのは輸出で、米国の関税引き上げの波が自動車の受注や価格調整に及び、外需寄与はマイナスに傾いたと整理できる。統計公表のタイムラインも、動きの速さを映す。
足もとは、関税発動前の前倒し出荷の反動もあり、主要輸出の一角で数量が伸び悩んだ。純輸出の寄与はマイナス幅が広がり、全体を下押しした。生産現場では海外価格への上乗せ分をどう吸収するかが焦点となり、在庫の積み増しには慎重さが戻った。数字の背後に、企業の調整の息づかいがにじむ。
住宅投資は省エネ基準の見直しなど制度対応のコスト増が重く、弱含みが続く。他方で、公共需要は大きく振れず、内側での下支えは限定的だった。外側の逆風に対し、内側の粘りが追いつかない、そんなバランスが今回の四半期に表れた。市場が見たのは、外需依存のもろさと調整過程の長さである。
家計と企業の足取り、次の一手を探る
個人消費は小幅の増加にとどまり、物価上昇が実質の購買力を削る構図が残る。身近なサービスは持ちこたえつつも、耐久財は勢いを欠いた。賃上げの効果が生活実感へ広がるまで、回復の歩幅は細くなるとの見方がある。調整のさなかで、家計の慎重さが数字にそのまま映った。
一方で企業は、設備投資を増やした。データセンターや省エネ関連の案件が動き、為替の影響を受けにくい領域が底を支える。外需の逆風のなかでも、生産性向上や省人化に向けた投資が先行し、輸出に頼らない稼ぐ力を高める動きが静かに広がる。需要の入れ替わりが、次の成長の“種”を仕込む。
政策の視線も交錯する。政府は家計負担の和らげと賃上げの定着を両立させる追加策の検討を進め、金融政策は景気の脈を見極める慎重姿勢が強まるとの見方がある。外の波に揺れながら、内の力をどう育てるか。統計の一歩先で、次の手当てが求められている。
