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祝祭の翌日、金相場が深く息を吐いた。2025年10月20日に1オンス=4,381.21ドルの史上最高値を付けた後、21日夜にかけて急反落し、スポットは一時4,115.26ドルまで下落、先物12月限も大幅安となった。ドル高と利益確定が重なり、近年で最も大きい下げ幅が市場を冷やしたと映る。
赤いティッカー、薄れる安全神話
東京時間の2025年10月21日夕から夜にかけ、端末のティッカーは赤に染まった。スポット金は一時1オンス=4,115.26ドルまで下げ、前日比で約5.5%安となった。前日の20日には4,381.21ドルの最高値を更新しており、連日の振れは2020年以降でも際立つ大きさだ。年初来でみれば依然として約60%高だが、熱のこもった上昇に初めて明確な逆風が吹いた格好である。
為替の動きも重かった。主要通貨に対するドル指数が上昇し、他通貨の投資家にとって金は割高になった。先物では中心限月の12月物が終値で5%超下落し、取引所の指標では10年以上ぶりの大幅安となった。銀は7%超下げ、プラチナやパラジウムも連れ安となるなど、貴金属全体にリスク回避の巻き戻しが広がったとみられる。短期の逆回転で、積み上がっていた先物の買い持ちやETFのフローが一斉に解け、板が薄い時間帯に下げが加速したとの指摘も聞かれる。
利下げ観測と地政学、過熱の境目
ここまでの金高を支えたのは、米利下げ観測や地政学・景気の不確実性、そして各国中銀の継続的な買いである。安全資産としての需要が積み上がる一方、高値波乱が強まると短期筋の利益確定が出やすい。市場参加者は「ボラティリティの急騰は一旦の天井サイン」と指摘し、上値での買い疲れとポジション調整が重なった構図が浮かぶ。前日までの“買えば上がる”という空気が、21日の乱高下でいったん霧散したと映る。
足元の材料では、米物価指標の発表や政策金利の見通し、米中関係のヘッドラインが当面の方向感を左右する。大手金融機関は数週間の「もみ合い」を想定し、強いドルが続けば上値追いは鈍るとの見方を示した。一方で、地政学の火種や公的需要が衰えなければ押し目を拾う動きも根強い。宝飾需要の季節性やアジア現物買いの下支えも残っており、突発ニュースに振らされやすい高値圏の地合いが続きそうだ。
