竹中工務店と国立研究所NIMS 部材削減の新制振ダンパー開発

巨大地震の長い揺れに備え 汎用工場で製作可能な制振技術が登場

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竹中工務店と物質・材料研究機構(NIMS)は2025年12月3日、巨大地震で生じるゆっくり大きな揺れから高層ビルを守る新しい制振部材「H形断面ブレース型FMS合金制振ダンパー」を共同開発したと公表した。FMS合金を用いた芯材を鋼管で囲う構成とし、従来品と同等の地震エネルギー吸収性能を保ちながら部材点数を減らしたのが特徴だ。特殊な設備が不要で一般的な鉄骨製作工場でも作れるとされ、高層建築の長周期地震動対策をどこまで低コストで広げられるかが問われている。

長く揺れる高層階、現場が求める「何度でも耐える」仕組み

大きな地震が起きると、震源から離れた都市の高層ビルでも、船に揺られているような長い周期の揺れが続くことがある。これが長周期地震動であり、上層階ほど共振しやすく、家具の転倒やエレベーター停止が問題となってきた。政府は2023年から、長周期地震動による被害の恐れがある場合にも緊急地震速報を出す運用に踏み切り、高層ビルで働く人や入居企業の不安は一層顕在化している。

こうした繰り返しの大きな揺れに対応するために用いられてきたのが、NIMSらが開発してきたFMS合金だ。鉄にマンガンやケイ素などを加えたFe-Mn-Si系の形状記憶・高耐疲労合金で、一般的な鋼材の約10倍という高い疲労耐久性を持つとされる。2010年代以降、同合金を心材にした制振ダンパーが超高層ビルなどに実際に導入され、複数回の大地震を受けても機能を維持しやすい構造として評価が高まってきた。

今回の新ダンパーは、このFMS合金の「何度揺れても壊れにくい」という特性を、高層ビルの日常運用に近い視点からさらに引き出そうとする試みでもある。長期間にわたり余震や遠地地震の影響を受けても制振性能が落ちにくくなれば、テナントが入れ替わるたびに補修コストを心配する必要は減る。事業継続計画(BCP)を重視する企業にとって、オフィス選びの条件に「長周期地震動への備え」が加わる可能性もあるだろう。

普通の鉄骨工場で作れる構造へ、開発側の狙い

新しいH形断面ブレース型ダンパーは、FMS合金製のH形鋼を芯材とし、その外側を補剛鋼管で覆うという比較的シンプルな構成を採る。従来の「十字断面ブレース型」と同等の地震エネルギー吸収性能を保ちながらも、芯材形状を単純化することで、設計や製作の自由度を高めたと説明されている。

鍵となったのがFMS合金の溶接条件だ。疲労特性を損なわずに継ぎ目を確保できる温度や入熱の範囲を詳細に検証し、その「許容ウインドウ」を明確にしたことで、特別な溶接設備や高度な職人技に頼らずとも安定した品質を出せる見通しが立った。これにより、これまで限られた工場でしか扱えなかった先端制振部材が、一般的な鉄骨製作工場でも量産可能な水準に近づいたといえる。

実プロジェクトとしては、東京都中央区で建設が進む長瀬産業東京本社ビルへの採用が決まっており、2026年6月竣工予定の高層オフィスで性能が検証される。大都市中心部の本社ビルという、事業継続性が重視される用途での初適用は、今後の市場展開に向けた「ショーケース」としての意味合いも大きい。成功すれば、同規模クラスのビルで採用を検討するデベロッパーやテナントの判断材料になりそうだ。

情報は増えたが対策は道半ば、普及へ残る課題

一方で、長周期地震動そのものについては、観測と情報提供の仕組みが整いつつある。気象庁は、高層ビル内での人の行動のしづらさや室内被害の程度に応じて4段階の「長周期地震動階級」を定義し、観測情報として公表している。また、防災科学技術研究所の観測点を活用することで、長周期地震動に関する情報網の拡充も進めている。

しかし、情報が細かくなっても、揺れそのものを小さくするには建物側の対策が欠かせない。FMS合金ダンパーは2010年代から実用化されてきたが、特殊な材料と製作工程ゆえに、導入コストや施工可能な案件が限られるという課題もあった。NIMSなどは、長周期地震動に強いダンパーを超高層ビルだけでなく、大規模建物や土木分野にも広げる構想を示しており、その前提として「どの地域の工場でも作れる部材」に近づける研究を続けている。

今回のH形断面型は、その課題に対するひとつの解である。とはいえ、採用を決めるのは最終的に建物の所有者や利用者であり、導入コストと被害低減効果をどう見積もるかは簡単ではない。長周期地震動への備えは、情報の受け手である高層ビル利用者が建物の性能や制振設備に関心を持つことと、設計・施工側が現場で扱いやすい技術を用意することの両輪で進む。天井裏に隠れた一本のH形鋼が、巨大地震後もオフィスがいつも通り機能するかどうかを静かに左右していく。

参考・出典

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