鹿島が回生オイルダンパーを名古屋市中区超高層に初適用、居住性と事業継続性を両立

鹿島、電力不要の制震ダンパー「HIDAX-RE」初適用 名古屋の超高層で回生技術を実装

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鹿島が開発した「ハイダックス・アールイー」(HIDAX-RE)。制震用オイルダンパーに振動エネルギー回生の仕組みを組み込み、制御に必要な電気を要しないのが特徴だ。施工中の「栄トリッドスクエア」(名古屋市中区)に初適用し、超高層で求められる居住性と事業継続性を両立させる狙いだ。現場での試適用を起点に、次の常識を静かに更新しようとしている。

現場で動き始めた新ダンパー

名古屋・栄で建設が進むオフィスビルに、新しい制震装置が据え付けられた。対象は地上高を確保しながら、設備や動線を効率化したハイグレード仕様の計画だ。設計・施工を担う鹿島が、自社の最新ダンパーを核にした構造計画を組み上げ、揺れの少ないオフィス空間づくりに踏み出した。工区では架台や配管の取り回しが整理され、装置は建物の骨格に溶け込む。

HIDAX-REは、風による長時間の微振動から、発生頻度の高い震度4〜5クラス、さらに長周期地震動まで幅広く効くとされる。揺れを溜め、揺れで抑える。その循環が効率良く回ることで、居住者が感じる横揺れやふわつきが抑えられ、机上作業や会議の集中が損なわれにくくなる。オフィスが日常的に“揺れに強い”ことの価値は、使われ方に比例して高まる。

導入現場では、設備更新時の自由度やフロア運用のしやすさも意識されている。ダンパーは柱やブレース周りに配置されるが、配線や盤の設置が少ないことで共用部の納まりに余白が生まれる。結果として、避難動線やメンテナンス動線が明快になり、日々の運用負荷の軽減につながる。建築と設備の“隙間”を小さくする工夫が、見えない安心感を支える。

仕組み:揺れを蓄え、圧で動かす

装置は地震で生じる振動エネルギーを油圧で受け止め、補助タンクにいったん蓄える。蓄えた圧力をダンパーのアシスト力に切り替え、制御に必要なエネルギーとして再利用する。いわば建物の揺れを“貯めて、使う”動きだ。エネルギーの往復が生む抵抗が減衰力となり、構造体の変形を抑える。制震(揺れを吸収して建物の変形を減らす技術)の王道を、回生で磨き上げる設計である。

特徴は、制御弁の開閉を補助タンクの内圧変動でまかなう点にある。電気式のアクチュエータや外部電源に頼らず、油圧系の自己完結で弁が動く。結果として、ダンパー設置に伴う電気工事や監視コントローラーが不要になり、機器点数と故障要因が減る。長周期地震動(周期の長いゆっくりした揺れ)にも追随性を保ちつつ、仕組み自体は簡素というバランスが際立つ。

回生の利点は停電時にも現れる。建物側の受電が不安定でも、弁は内圧で作動するため減衰機能を維持できる。非常用電源の負荷配分を抑えやすく、BCP(事業継続計画)に沿った“止まらないオフィス”を下支えする。加えて、配線や盤を省けることは更新・改修の自由度を広げ、ライフサイクルで見た運用コストの抑制にも寄与する可能性がある。

系譜と広がり:HIDAXからREへ

鹿島の制震技術は、HIDAXシリーズとして蓄積がある。過去には地震エネルギーの利用を掲げた「HiDAX-R」が外部顕彰を受け、地震で生じる力を減衰に生かす発想が評価された。今回のHIDAX-REは、その流れを踏まえつつ、弁の駆動まで油圧に閉じる構えだ。制御に電気を使わないという構成は、シンプルゆえの強さを狙うものだと読み取れる。

適用先として、超高層オフィスは相性が良い。長周期地震動のゆっくりした揺れや、強風に伴う日常的なスウェイを抑えることは、体感の快適さだけでなく、設備や内装の微小なストレス低減にもつながる。装置が電源や盤に縛られにくいことは、階高や機械室の制約が厳しい計画でも納まりを整えやすい。現場の自由度が高まれば、構造・設備・意匠の協調も進む。

名古屋の試適用は、その象徴的な第一歩になる。都市の中心で稼働するオフィスは、働く時間が長く、来訪者も多い。小さな揺れを抑える積み重ねは、快適性と信頼感の土台になる。施工の省配線化や監視機器の削減は、維持管理の手間とリスクを同時に下げる。高い耐震安全に、日常の使いやすさを重ねる発想が、導入の広がりを後押ししていく。

装置が柱際で静かに働き、集めた圧が揺れを整える。街の鼓動はそのままに、振幅だけが小さくなっていく。

参考・出典

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