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香港で少なくとも159人が死亡した高層住宅群の火災を巡り、中国の治安当局の出先機関・国家安全維持公署が6日、外国メディアに報道への注意を促した。事実と異なる情報を広めたり、政府の火災対応を中傷したりしないよう求めたとされる。焼け焦げた団地前には花束が積み上がるなか、災害をどう伝えるべきかという問いが突き付けられている。
被災地と社会に広がる「声を上げにくさ」
火災が起きたのは、香港北部の高層住宅団地「ワンフックコート」だ。11月末に発生した火は複数棟に燃え広がり、香港当局の発表や日本メディアの報道では、死者は159人、行方不明者もなお数十人規模に達しているとされる。多くの住民が一夜にして住まいと家族を失った。
団地は大規模改修工事の最中で、足場を覆うネットや断熱材が炎の勢いを増した可能性があると、ロイター通信や英ガーディアン紙などが伝えている。工事に使われた素材の安全性や、事前の点検が適切だったのかを問う声は、火災前から一部の住民の間で上がっていたと報じられている。
一方で、そうした不安や怒りを公に語ることへの心理的な壁は高まっている。AP通信によれば、火災を巡るSNS投稿が政府への憎悪をあおったとして、高齢男性が国家安全法違反の疑いで逮捕された事例もある。追悼の場を守りたい思いと、原因究明を求めたい思いのあいだで、市民が言葉を選ばざるを得ない状況が生まれつつある。
外国メディアに突きつけられた「赤い線」
そうした緊張のなかで国家安全維持公署が6日に出したのが、外国メディアへの警告である。同公署は香港に駐在する複数の海外メディア関係者を呼び出し、火災報道で事実と異なる情報を流さないことや、政府の救援・捜索活動をおとしめる表現を避けることなどを求めたと、ロイター通信などが報じている。
公署の声明は、災害を利用して香港を混乱させようとする「外部勢力」の存在を強調し、一部報道は立法会選挙への干渉だと非難した。これに先立ち香港政府も、火災対応を批判する海外の論評を「根拠のない中傷」として強く退けている。2020年に施行された香港国家安全維持法のもとで、政治や選挙に関する議論が安全保障の問題として扱われやすくなっていることがうかがえる。
ただ、何が「虚偽」で何が「中傷」に当たるのか、その線引きは当局の判断に委ねられている。外国メディアにとっては、被災者や専門家の厳しい声をどこまで伝えられるのか見通しが立ちにくく、取材の萎縮を招く恐れがある。大規模災害の原因究明と責任の検証を丁寧に進めるには、現場の証言や独立した検証報道が欠かせないだけに、誰がどこまで事実を語れるのかという問いが、香港社会に静かに投げかけられている。
