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政府は、外国人による重要な土地の取得状況をより細かく確認するため、2026年度から、重要土地の取引を行う法人に追加の国籍登録を義務付ける方針を固めた。代表者の国籍に加え、役員や株式の過半数を外国人が占める場合は、その国籍も登録対象にする。国内企業を「隠れみの」にした外国資本の買収を見えにくくする抜け道をふさぐ一方、企業側には新たな確認作業が増える。
「会社の中身」まで問う登録、現場は何を準備するか
重要土地の制度は、基地など重要施設の周辺や国境離島といった一部区域で、土地の使われ方や取引の情報を国が集める枠組みだ。特に「特別注視区域」は、ひとことで言うと、取引の前に国へ届け出ることが求められる区域である。対象や手続きは既に示されており、今回の方針は「誰が背後にいるか」を法人の情報から読み取りやすくする狙いがある。
実務で悩ましいのは、国籍登録の対象が代表者にとどまらず、役員や株式の「過半数」に広がる点だ。名義の株主だけを見ても実態が分からないケースがあり、出資の連鎖をどこまで遡って確認するかが焦点になる。企業にとっては直接影響として、取引前の確認と書類整備に時間とコストが上乗せされ、案件によっては売買のテンポが落ちる可能性がある。
透明化は進むか、線引きと運用が次の焦点
国が「国籍」を切り口に情報を揃えようとする動きは、重要土地だけに限らない。国土交通省は2025年に、一定規模以上の土地取引で国籍を自治体へ報告する仕組みを加え、データを集約して実態把握を進める考えを示した。
今後の分岐は2つある。1つは、外国人比率の判定を「役員」と「株主」のどこまで厳密に求めるか。もう1つは、集めた情報を安全保障目的に絞って扱うのか、それとも投機的な取引の監視などへも広げるのかだ。片山さつき財務相も、外国人の不動産取得の把握を広げる方向性に言及しており、制度間の整理が問われる。生活者への影響は当面は限定的だが、間接影響として手続き負担が積み上がれば、取引費用として価格に織り込まれる場面もあり得る。
