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都心のホテルの灯りが落ち着きを増すころ、石破首相は菅義偉元首相、岸田文雄前首相と向き合った。19日夜の会食は、退陣表明後の節目にあたり、助言を受けてきた先達へ感謝を伝える場となったとみられる。21日に臨時国会が召集され、新たな首相が選ばれる見通しの中、権力のバトンを静かに手渡す気配が広がっている。
静かな夜の会食が語るもの
19日夜、石破首相は東京都内のホテルにある日本料理店を訪れ、菅義偉元首相、岸田文雄前首相と会談した。首相経験者の二人は政権運営で折に触れて助言を重ねてきた相手であり、退陣を控えた首相がまず向かったのがこの席だったという事実に、政権の節目を穏やかに区切る意思がにじむと映る。
会食は時間の流れにも違いが出た。菅氏は約1時間で店を後にした一方、岸田氏は約2時間にわたり首相と席を共にした。具体的なやりとりは明らかではないが、現時点で確認されている範囲では、石破首相がこれまでの助言への謝意を伝えたとみられる。三者の距離感の違いが、その滞在時間にも反映されたとの受け止めが浮かぶ。
政治情勢の見通しも話題に上った可能性がある。与野党の駆け引きが続く中で、自民党が政権の軸足をどう保つかは重い課題である。特に政権移行期は「何を引き継ぎ、何を改めるか」が問われる。官邸の喧騒から離れた個室の食卓は、言葉の温度を確かめ合う場になったとみられ、次章の政権運営に向けた心構えが交わされた可能性が高い。
21日、次の首相を選ぶ日へ
政局の時計は21日に向けて進む。政府は臨時国会の召集を決定しており、与野党の協議状況をにらみつつ、その場で首相指名選挙が行われる見通しだ。手続き面の段取りは整いつつあり、国会の舞台で新たな指導者が選ばれるまでの時間は、既にカウントダウンに入っているといえる。
召集の決定は形式的な一歩にとどまらない。内閣が臨時国会を開く意思を明確にし、議院運営の枠組みが動き出したことを意味するからだ。党内外での調整は続くものの、首相指名の時機を巡る目線は一致しつつあり、政治のフォーカスは「誰が舵を取るのか」へと収れんしているとみられる。
石破首相がこの夜に選んだ会食相手は、これからの数日を象徴する。副総裁として政権を支えた菅氏、直近の政権を率いた岸田氏。二人に囲まれた席で語られたのは、感謝と引き継ぎ、そして与党の立て直しに向けた覚悟ではなかったか。静かなやり取りの裏で、権力の重さと連続性を自覚する姿が浮かぶ。
