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日本維新の会の遠藤敬首相補佐官が、衆院議員の定数削減をめぐる協議がまとまらなければ連立離脱も選択肢になると語った。衆院定数を約1割減らすという連立合意に基づき、維新はおおむね50人分の削減を法律に明記するよう求めている。会期末が12月17日に迫る中で、遠藤氏は延長してでも成立を目指すべきだとの立場だ。この強い言葉の裏には、「約束を実行する政治」を有権者にどう示すのかという、連立政権全体の試金石がある。
議席が減ると、選挙区と有権者に何が起きるのか
議員定数削減とは、国会議員の数そのものを減らすことである。仮に衆院の議席が1割ほど削られれば、1人の議員が担当する有権者の数は今より増え、国会審議や選挙区活動の負担も重くなる。一方で「政治のムダを減らすべきだ」と考える有権者にとっては、歳費や議員宿舎などのコストを抑える象徴的な一歩と映りやすい。遠藤氏が「国民との約束」を強調するのは、この期待と不満の両方を背景にしている。
地方の選挙区では、すでに議員が広大な範囲を飛び回り、陳情や相談への対応に追われているケースも多い。そこからさらに議席が減れば、地域によっては「誰に声を届ければよいのか」が見えにくくなりかねない。他方で、人口減少が進む中で議席数を据え置くことへの違和感を指摘する声もある。現場では、政治参加の機会を守りながらスリム化をどう進めるかという、二律背反の課題が突きつけられている。
過去にも衆院小選挙区の「0増5減」など部分的な削減が行われたが、政治への信頼が劇的に高まったとは言いがたい。今回は、連立の条件として掲げられたことで、単なるコスト論を超えた意味合いを帯びている。有権者は「本当にやるのか」「約束が守られなかったとき、誰が責任を取るのか」を見ている。遠藤氏の発言は、議席の数そのものより、政治全体の信頼残高が問われていることを示している。
連立政権の条件となった「1割削減」という約束
今年10月に発足した高市内閣で、最大与党と維新は新たな連立合意を交わした。テレビ朝日系の報道番組などによれば、そこでは衆院議員定数の約1割削減が、企業・団体献金の見直しなどと並ぶ柱のひとつと位置付けられたという。維新は閣僚を出さず「閣外協力」の形をとる代わりに、この定数削減を連立参加の絶対条件の一つとして掲げ、交渉の出発点とした。
合意文書には、臨時国会で両党の議員立法として関連法案を提出し、成立を目指す方針が盛り込まれている。遠藤氏は首相補佐官として、そして維新の国会対策委員長として、その工程づくりの中心に立つ。時事通信のインタビューでは、今の国会会期が12月17日に終わる予定であっても、「延長してでも仕上げるべきだ」との考えを示した。単なるスローガンに終わらせないという意思表示でもある。
維新側がこだわるのは、削減幅をおおむね50人と明記するかどうかだ。数値が法律に書き込まれなければ、「将来の検討」に後退してしまうとの警戒感がある。遠藤氏は、連立合意で掲げた項目は「国民との約束」にほかならないと位置付け、実際の法文にどこまで担保を盛り込めるかが、政権への信頼を左右するとみている。逆に言えば、骨抜きになれば、連立参加の意味そのものが問われかねない。
離脱カードの先にある、日本の政治への波紋
連立離脱の可能性に言及することは、政権運営にとって重いシグナルである。維新が抜ければ、政権は衆院での議席運営が難しくなり、予算や社会保障改革など他の重要法案の行方にも不透明感が増す。日刊ゲンダイDIGITALなどは、与党側が政策の進捗管理の枠組みを設け、維新に「途中で逃げない責任」を求めてきたと報じている。離脱というカードは、そうした思惑との綱引きの中で切られた形だ。
過去の連立政権でも、小政党が消費税率や安全保障政策をめぐって主張を通そうとした例はあったが、議員定数削減を「赤線」として掲げるのは珍しい。背景には、維新が地方議会改革で実績をアピールしてきた歴史と、支持層の「身を切る改革」への期待がある。他方で、離脱を繰り返しちらつかせれば、短期的な交渉力は高まっても、中長期の政策合意を築きにくくなるという指摘も、各紙の論説で見られる。
臨時国会が終盤に差し掛かるなか、連立各党は「どこまでを今決め、何を次の国会に回すのか」という線引きを迫られている。議席数を減らすだけでは、政治とカネの問題や政策決定の質が自動的に改善するわけではない。誰がどの負担を引き受け、どの期間で改革を進めるのかを示せるかどうかが、定数削減をめぐる攻防の先に残る本当の問いであり、その答え次第で有権者の視線も変わっていくだろう。
