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イスラエル国防省は2025年12月28日、高出力レーザーで飛来物を迎撃する新システム「アイアンビーム」を、イスラエル空軍に配備したと発表した。開発を主導した国防省の研究開発部門と国営防衛企業ラファエルが北部で引き渡し式典を開き、カッツ国防相は複数回の迎撃に成功し実戦運用の段階に入ったとの認識を示した。焦点は、安価な迎撃手段が防空の運用と抑止の計算をどう変えるかだ。
迎撃コストと「弾切れ」への処方箋になり得るか
レーザー迎撃の売りは、ミサイル迎撃弾のように「撃つたび在庫が減る」構造を和らげられる点にある。国防省は、ロケット弾や迫撃砲弾、無人機などへの対処能力をうたい、既存の多層防空に組み込むとしている。空襲警報が鳴るたび迎撃弾を積み増す現場にとって、電力で回る迎撃手段が加わる意味は小さくない。
ただし、レーザーは万能ではない。一般に照射型は見通し線が必要で、雨や霧、砂塵などの影響を受けやすいとされる。つまり「いつでも置き換え」ではなく、迎撃弾と組み合わせて穴を埋める設計になる。運用の要点は、どの脅威を優先してレーザーに回し、どれを従来型で落とすかという振り分けの手順に移っていく。
配備は始まり、残るのは運用条件と抑止の読み合い
国防相は式典で、近隣だけでなく遠方の敵にも「挑むな」と警告する趣旨の発言をした。新装備の披露は、技術的な節目であると同時に、抑止のメッセージでもある。実際の運用では、空軍が指揮する防空網のどこに置き、どの部隊が維持整備し、どの段階で発射（照射）判断を下すかが効いてくる。
もう一つの論点は量産と配備ペースだ。報道では、引き渡しは「開発から量産へ」の移行を示すとも伝えられている。数をそろえられるほど、低コスト迎撃を前提にした運用が現実味を帯びる一方、相手側も飽和攻撃の手段や飛翔プロファイルを変える可能性がある。防空を「安く、切れ目なく」する狙いと、攻防の適応競争が同時に進む局面に入った。
参考・出典
- Israeli air force deploys first laser interception system
- IDF gets first combat-ready laser interception system – JNS.org
- Israel's Iron Beam laser weapon to be fielded by year-end
- Israel Completes Light Shield Laser Weapon, IDF Handover Set for December 30 | Israel Hayom
- Rafael delivers first operational Iron Beam laser defence system to the Israeli armed forces
