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記念撮影の列に並ぶ首脳たちの間を、高市早苗首相が静かに進んでいった。数メートル先には中国の李強首相の姿もあったが、視線が交わることはあっても、言葉を交わす瞬間は最後まで訪れなかった。南アフリカ・ヨハネスブルクで2025年11月22日に始まったG20サミット初日、日本と中国の距離感がにじむ光景となった。
高市首相、初日は対中接触なしで各国と対話
尾崎正直官房副長官は22日夜(日本時間23日未明)、同行記者団に対し「高市首相と李首相の接触は、そもそも調整していない」と説明した。会場で偶然言葉を交わす可能性までは否定しないものの、政府として事前に決めた会談や立ち話は入れていないという位置づけだ。G20全体会合に加え、多数の首脳との個別会談が組まれ、首相の日程は分刻みで動いている。
一方で、高市首相はイタリアのメローニ首相と抱き合う姿が報じられたほか、トルコや韓国、フランス、ベトナムなど18の国・国際機関のトップと握手や短い会話を重ねたとされる。欧州連合(EU)や世界保健機関(WHO)の首脳とも言葉を交わし、初参加の場で人脈を広げる動きが目立った。米国が欠席する異例の会合で、日本が多くのパートナーと関係を深めようとする姿が浮かぶ。
冷え込む日中関係とG20の意味合い
今回の非接触には、台湾情勢をめぐる緊張が影を落としている。高市首相が国会で「台湾有事は日本の存立危機事態になり得る」と答弁したことに、中国政府は強く反発し、南アフリカでのG20期間中も正式な首脳会談に応じない姿勢を示してきた。香港メディアも、両首脳が同じ会場にいながら、目立ったやりとりは見られなかったと伝える。
それでも高市首相は、会合では「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現や、法の支配に基づく国際秩序の維持を訴えた。先進国と新興国が集う20カ国・地域首脳会議で、日本にとっては多角的貿易体制や重要鉱物の供給網をどう守るかを議論することが大きな課題となる。米国不在の中で首脳宣言は採択され、高関税による分断や「複合的な危機」への危機感も共有された。各国との距離を少しずつ縮めようとする日本の首相の輪の、わずか外側に立つ中国の姿は、インド太平洋を巡る力学の複雑さを静かに映し出している。
