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トランプ米政権の高関税を巡る法廷闘争が、ついに日本企業も巻き込み始めた。豊田通商など日系企業の米関係会社が、12月1日までに米国際貿易裁判所に提訴し、関税が違法と裁かれた場合の全額返還を求めている。最高裁の判断が読めない中、日系企業は巨額コストの行方を自ら確保しようとしている。
関税負担に揺れる現場企業 まず「払い過ぎ」リスクと向き合う
日系9社の米関係会社が狙うのは、新たな賠償ではなく、既に払った関税を無駄にしないことだ。連邦最高裁で「相互関税」などの合法性が争われているが、違法と判断されても、自動的な返還は保証されていないと企業側はみる。先の読めない裁判の下で、どこまで自社でリスクを管理できるかが焦点になっている。
在米拠点を持つ商社や素材・部品メーカーは、輸入時点で上乗せされた関税を価格に転嫁しきれず、利益圧迫に直面してきた。例えば豊田通商の米事業は、自動車や機械のサプライチェーンの要であり、関税コストが積み上がれば、調達先の見直しや投資計画の修正を迫られる。現場では、為替変動や物流費と並ぶ「第3のコスト」として関税が意識されている。
今回の訴えは、ニューヨークの米国際貿易裁判所に一括して持ち込まれた。企業側は、最高裁が違法と判断した場合に備え、関税の全額返還を求めるとともに、同様の非常事態権限に基づく追加関税を今後発動できないよう差し止めも求めている。ビジネスの継続性を守るため、まずは「払い過ぎ」を確実に取り戻す狙いだ。
非常事態法を根拠にしたトランプ高関税、その仕組みと争点
トランプ氏の高関税は、大統領が経済取引を制限できるとする国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠に導入された。貿易赤字や薬物問題を「国家の非常事態」と位置づけ、複数の国からの輸入品に一律の上乗せ関税を課した点が特徴だ。しかし、もともと制裁や資産凍結を想定した法律を、恒常的な関税政策に転用することの是非が、米国内で激しく問われている。
なかでも、相手国と同じ水準まで関税を引き上げる「相互関税」は、日本や欧州連合など主要貿易相手国を直接標的とした。自動車など一部品目では2桁台の追加関税が課され、サプライチェーンの組み換えを迫られた企業も多い。中国やブラジルが世界貿易機関(WTO)に提訴するなど、通商秩序全体への影響も広がっている。
今年夏には、米連邦高裁がこれらの関税について、大統領権限の逸脱だとして違法と判断した。ただし直ちに関税をゼロにはせず、政権が最高裁に上訴する猶予期間を設ける判断となったため、企業は依然として関税を払い続けている。制度は動きながら争われるという、企業にとって読みにくい局面が続く。
広がる企業訴訟の連鎖、日本企業に残る選択肢
今回の提訴は、日系企業だけの孤立した動きではない。米会員制量販店コストコをはじめ、食品、眼鏡、タイヤなど幅広い業種の企業が、同じく関税返還を求めて相次いで訴訟を起こしている。ロイター通信などによれば、これらの企業も、最高裁がトランプ関税を違法と判断しても自動的に払い戻しが行われない「空白期間」を警戒している。
一方で、日本政府は相互関税の調査開始以降、米側と協議を続けつつ、自国産業への影響を注視してきた。企業側も、調達先の多様化や、価格転嫁とコスト吸収のバランス調整など、ビジネス上の防衛策を進めている。それでも、最終的な関税率や返還ルールは米司法と政権の判断に左右され、企業の努力だけでは埋められない不確実性が残る。
最終判断が見通せない中で法廷に備える今回の動きは、通商政策の揺れが企業経営に与える重さを物語っている。
