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政府は2026年度から、CO2の排出削減量を「割り当てた」鋼材であるグリーン鉄を、公共工事で試行的に使う方針だ。国が先に買い手になることで、鉄鋼分野のグリーン・トランスフォーメーションを後押しする狙いがある。あわせて流通市場の実態も調べ、2030年度以降の本格活用につなげる。
公共工事が握る初期需要、誰の手間が増えるか
「割り当て」とは、低CO2の原料や工程の投入量に応じて、製品の一部に環境価値を付ける考え方だ。MONOistは、自動車向けのグリーン鉄で広がる「マスバランス方式」を例に、この仕組みを紹介している。公共工事で採用が始まれば、建設会社や発注者は価格だけでなく、環境価値の説明や証憑の整備を求められる場面が増えそうだ。
一方で公共工事は、材料の品質や耐久性の確認が欠かせず、短期に仕様を固定しにくい。国土交通省や環境省は、グリーン購入法に基づく公共工事の特定調達品目を毎年見直しており、検証が必要な提案を「継続検討品目群(ロングリスト)」として整理、公表してきた。今回の試行は、性能と排出削減の“両方”を現場条件で確かめる場にもなる。
算定ルールと国際標準、民間投資を支える条件
経済産業省は2025年1月、「GX推進のためのグリーン鉄研究会」のとりまとめを公表し、鉄鋼業が国内温室効果ガスの約1割を排出すること、脱炭素型の製造は初期にコスト高になり得ることを示した。そのうえで、製品ごとのカーボン・フットプリント(CFP)の算定ルール整備やデータ開示、政府による優先調達などを需要側の支援策として挙げている。
供給側では、水素還元など次世代の製鉄技術を育てる投資が要となる。NEDOは製鉄プロセスでの水素活用に関する公募を行い、技術の社会実装を後押ししている。だが、技術が進んでも「どれだけ減らしたか」を測り、取引できなければ市場は太りにくい。2026年度の公共工事での試行は、価格差をどう扱い、環境価値をどう担保するかという“運用の現実”を突きつける試金石になりそうだ。
