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会見場で国土交通省の担当者が人事の資料を掲げ、新しい知らせを読み上げた。国際民間航空機関ICAOの次期理事会議長に、日本が候補として推してきた大沼俊之氏が選出されたという内容である。世界の空のルール作りを担うトップポストに日本人が就くのは初めてで、アジア大洋州地域からの議長誕生も前例がない。静かな会見場に小さなどよめきが広がった。
日本人として初のICAO理事会議長に大沼俊之氏
ICAOは2025年11月26日、大沼氏を理事会議長に選出したと発表し、国土交通省は翌27日に結果を公表した。任期は2026年1月1日から3年間で、現在の議長の任期満了後にバトンを受け継ぐかたちだ。宮城県出身で56歳とされる大沼氏が、国際民間航空の最高意思決定機関の議長席に座るのは、日本人としてもアジア大洋州としても初めてとなる。決定の知らせは日本の航空関係者にも大きな驚きをもたらした。
大沼氏は1992年に当時の運輸省に入省し、国際航空交渉や航空管制、脱炭素政策など幅広い分野で実務と調整に携わってきた。2001年から約2年間はICAO法律局で勤務し、本部のあるカナダモントリオールで国際ルール作りの現場を経験している。2024年12月にはICAO日本政府代表部特命全権大使に就き、加盟193か国が集う場で日本の考えを伝えてきた経歴が、今回の信任につながったと受け止められている。官民の交渉の場で積み上げた信頼が、国際舞台での後押しになった格好だ。
ICAOとは 世界の空を支える国連機関
ICAOは1944年に設立された国連の専門機関で、国際民間航空の安全かつ秩序ある発展を図ることを目的としている。本部はモントリオールに置かれ、現在は世界のほとんどの国を含む193か国が加盟する。各国は理事会などを通じて航空路の安全基準や管制のあり方、騒音や二酸化炭素排出に関する取り決めを協議し、合意した内容が各国の制度や航空会社の運航に反映されていく。条約や基準は目立ちにくいが、旅客機がどの国の空でも同じ安全水準で飛べる土台となっている。
近年の理事会では、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う領空の扱いや、北朝鮮の弾道ミサイル発射が民間機に与え得るリスクなど、安全保障と航空の接点も議題となっている。そこに、温室効果ガスを減らすための持続可能な航空燃料SAFや、無人機の商業利用といった新しいテーマが重なり、議長には合意形成を導く高度な調整力が求められる。日本政府は、大沼氏の下でSAFと無人機の国際ルール作りを主導し、地域の航空安全と環境対策に貢献したい考えだ。議長席に座る日本人の判断は、空港の現場や乗客の体験にも少しずつ影響を与えていきそうだ。
