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政府がインテリジェンス機能の強化に向け、新たな意思決定の場「国家情報会議」と、その事務局となる「国家情報局」の設置案を固めつつある。首相が議長を務め、官房長官ら関係閣僚が机を囲み、各省庁の情報を一元的に集約する構想だ。 来年の通常国会に関連法案を提出し、早ければ来年夏ごろの発足を見込むなか、市民の安全と自由のどちらをどう守るのかが問われている。
首相直轄の新会議、縦割り情報を束ねる狙い
現在、政府の情報活動は内閣情報調査室のほか、警察庁の公安部門や公安調査庁、外務・防衛両省の組織などに分かれている。こうした縦割りのままでは、危機時に重要な情報が官邸に集まりにくいとの指摘が以前からあった。新たに創設される国家情報局は、内閣情報調査室を格上げし、各組織からの情報を官邸に集中させる「ハブ」と位置付けられている。
その司令塔役として描かれているのが国家情報会議だ。首相が議長となり、官房長官や安全保障分野を所管する閣僚らが参加し、国家情報局が集約した分析結果を基に、対外情報政策や安全保障上の優先順位を議論する構想とされる。外交・安全保障政策を調整する国家安全保障会議が「政策」を詰める場だとすれば、新会議はその前段である「情報」の判断を支える場として設計されるとみられる。
各省庁の現場から見れば、バラバラに上げていた報告が一つの窓口で処理されることで、危機対応のスピード向上が期待される半面、官邸主導が強まり現場の裁量が狭まる懸念もある。政府は情報活動を担当する新たな閣僚ポストの創設も検討しており、国家情報局の発足後に現在官房長官が担う所管を移す構想だ。
監視社会への不安、法案審議でどこまで説明できるか
一方で、一部の野党は市民への監視が強まるのではないかと懸念を示している。過去に特定秘密保護法が成立した際には、取材源の秘匿や内部告発が萎縮するとの批判が与野党や報道機関から相次いだ経緯がある。国家情報局が警察や公安、外務・防衛両省の情報を集約する枠組みになれば、政府による監視と取り締まりの権限が過度に拡大しないかが改めて焦点となる。
特に論点となり得るのは、収集対象となる情報の範囲や、市民の通信・位置情報など個人データの扱いだろう。欧米でもテロ対策を名目に監視権限を強めた結果、司法によるチェックや情報公開の仕組みが不十分だったとして見直しが進んだ例がある。AIやサイバー分野でも新たな法制度を整える議論が続いており、政府の安全保障政策全体に関わるテーマになりつつある。
政府は「戦後で最も厳しく複雑な安全保障環境」に直面していると強調し、インテリジェンス機能の強化を急ぐ姿勢を崩していない。 しかし、国家情報会議と国家情報局が動き出したとき、国民の自由と権利を守る仕組みまで同時に整備されているのかどうか。その答えを示す責任が、これから始まる通常国会での審議に重くのしかかる。
参考・出典
- 国家情報局、来年７月にも設置 – 大分のニュースなら 大分合同新聞プレミアムオンライン Gate
- 国家情報局、来年7月にも設置 政府、通常国会に法案提出 | NEWSjp
- 「国家情報局」創設へ、政府検討 市民監視強まる懸念も | NEWSjp
- インテリジェンス特化の新担当相 – 大分のニュースなら 大分合同新聞プレミアムオンライン Gate
- 城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年2月7日 – 内閣府
- 「唐突感がある」野党は慎重姿勢 創設を検討『国家情報局』とは
- 「国家情報局」創設へ、政府検討 – 大分のニュースなら 大分合同新聞プレミアムオンライン Gate
- インテリジェンス特化の新担当相 政府検討「国家情報局」創設併せ | NEWSjp
