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入管窓口の前で整理券を手にした人たちが掲示板の料金表を見つめる――そんな光景が、今後ますます変わっていきそうだ。政府は2025年11月20日までに、在留資格の変更や期間更新などの手数料を来年度中に見直し、サービス改善につながる形で引き上げる方針を固めた。外国人住民が増えるなか、日本で安心して暮らし続けられる仕組みづくりに向け、手続きの充実を支える“必要なステップ”に入っている。
急激な値上げ、その中身と狙い
見直しの中心となるのは、在留資格変更と1年以上の在留期間更新だ。現在はいずれも1件6000円だが、これを3万〜4万円ほどに引き上げる案が軸となっている。永住許可の申請料も現行の1万円から10万円を超える水準まで上げる方向で調整が進む。いずれも欧米の主要国に近い水準とし、日本だけが安いという状況を改めたい考えだとされる。
政府は増える手数料収入を、外国人との共生施策の財源に充てる方針だ。ここでいう共生施策とは、日本語教育の拡充や相談窓口の整備、多言語対応の医療や教育など、地域で安心して暮らせる環境づくりを指す。人手不足を補う労働力としてだけでなく、住民としての支援も強化することで、受け入れと負担のバランスを取ろうとする狙いがにじむ。
相次ぐ改定と増え続ける在留外国人
在留手数料はすでに2025年4月にも一度見直され、在留資格変更と更新が4000円から6000円へ、永住許可が8000円から1万円へと引き上げられたばかりだ。 さらに大幅な増額を行うには、手数料の上限を1万円と定めている入管難民法の改正が必要になる。このため政府は来年の通常国会に、上限引き上げを盛り込んだ改正案を提出する方向で準備を進めている。
入管難民法は、日本への出入国手続きや在留資格のルールを定める中核の法律であり、手数料の水準は長く大きな見直しが行われてこなかった。一方で、在留外国人数は2024年末に約376万9000人、2025年6月末には約395万7000人と、10年あまりでほぼ倍増している。 窓口業務や受け入れ体制のコストが膨らむなか、どこまで本人負担を増やし、どこからを税で支えるのかという線引きが、改めて問われている。
申請書類を抱えて列に並ぶ人たちの表情は、近く更新される料金表を前に、日本社会がどんな負担のかたちを選んだのかを静かに映し出すだろう。
