歌舞伎町で出資法違反、風俗女性へ超高金利貸付で男3人逮捕

東京・歌舞伎町を舞台に、法外な利息で金を貸し付けた疑いが浮上している。警視庁は2025年9月26日、韓国籍の男（52）と日本人の男2人（30歳代）を出資法違反（超高金利）容疑で逮捕したと一部報道が伝えている。貸付先は風俗店で働く女性らで、夜の街にからむ負債の連鎖があらためて問われている。

歌舞伎町で何が起きたか

最初の舞台は繁華街の裏手、看板が明滅する路地である。客引きの声が行き交う中、働く女性たちには生活の浮き沈みが直撃する。そこに「すぐに工面できる」と囁く貸し手が近づく。返済計画は曖昧なまま、現金は手渡され、数日後に「利息だけでいい」と言葉を重ねる。やがて取り立ての連絡が増え、返済が滞ると条件はさらに厳しくなる。現時点で確認されている範囲では、捜査は新宿・歌舞伎町の風俗店で働く女性らに焦点を合わせている。

一部報道によれば、男らは少なくとも計約800万円を貸し付け、違法利息として約2200万円を得た疑いがある。貸付の対象は複数に及ぶとみられ、返済に追われるうちに生活の余白が削られていく構図が浮かぶ。

捜査関係者の説明では、2023年3月から今年3月にかけ、都内在住の20歳代女性に50万円を貸し付け、法定の上限をはるかに超える約400万円の利息を受け取った疑いがもたれている。短期間の小口貸付に高率の利息を重ねる典型的なやり口で、返済原資は結局、同じ街での労働に依存させられていく。

法のラインと捜査の焦点

金利の線引きは明確である。出資法は上限を年20%と定め、これを超える利息の受領は刑事罰の対象になる。利息制限法も貸付額に応じて上限を定めており、違反すれば超過部分は無効となる。法は「行きすぎた利取り」を抑えるためにあるが、生活の窮地を狙う違法貸付はその隙間を探し、言い換えや名目を変えて迫る。

当局が警戒するのは、脆弱な立場の人に狙いを定める手口である。「審査不要」「即日」などの甘い誘いで接近し、短期で利息を雪だるま式に膨らませる。返済が遅れれば、連絡先を足がかりに心理的圧力を強める。こうした違法業者に関する注意喚起は継続して行われており、生活の逼迫に付け込む商法は常に監視の対象に置かれている。

実際、夜の街に絡む高金利貸付の摘発は続いている。2025年9月12日には、ホスト通いで金に困った女性へ高金利で貸し付けたとして、暴力団関係者が逮捕された事案が報じられた。女に30万円を貸し付け、受け取ったのは78万円という容疑だ。個々の被害は小さく見えても、積み上がれば生活を壊すに十分な重さになる。

広がる夜の街の負債と規制の動き

歌舞伎町では、ホストクラブの「売掛金」をきっかけに、返済のための労働に追い込まれる若い女性の相談が相次いできた。SNSや路上での誘引、恋愛感情に寄り添う言葉、支払いの肩代わり――それらが複合して、本人の意思だけでは止めにくい流れができる。返済を優先する生活は、睡眠や食事といった基本を後回しにさせ、ついに判断力を奪う。警察や支援団体は、深夜の街角で声をかけ、相談の糸口を増やす取り組みを続けている。

制度面でも対応が進む。警視庁は、悪質な接客や返済のための要求を禁じる改正の周知を繁華街の事業者に対して進め、関係者へ注意喚起を行っている。取り締まりの強化は、過剰な売掛金の回収や違法なあっせんにブレーキをかける狙いを持つ。ただし、規制の文言が現場の実態に追いつくには時間がかかる。法の網をすり抜ける逃げ道を塞ぐには、現場の声を政策に反映させる不断の更新が要る。

では、目の前の危機に直面したとき、どう動くべきか。第一に、契約の書面ややり取りの記録を保全する。第二に、公的機関や弁護士会、司法書士会、NPOの相談窓口に早期にアクセスする。第三に、違法な取り立てや脅しがあれば記録し、警察に相談する。違法業者の常套句に「今だけ」「ここだけ」があるが、どの局面でも法は借り手を守るラインを持っている。夜の街で働くこと自体は違法ではない。違法なのは、脆弱性に付け込み、違法な利息を吸い上げる側の行為である。

今回の逮捕は、歌舞伎町で続く搾取の連鎖に切り込む一手である。だが、個々の摘発だけでは根は断ち切れない。利息の上限という「見えない境界」を現実の抑止力にするには、現場の支援と周知、そして粘り強い捜査が重なり続ける必要がある。街の灯がともる時間帯こそ、人を追い詰める「高すぎる利息」を見逃さない目が求められる。