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タイ発の旅客便で関西空港に到着したスーツケースから、乾燥大麻およそ31キロが見つかった。大阪府警は今年10月12日、ベトナム国籍の女2人を麻薬取締法違反(営利目的輸入)などの疑いで逮捕し、その後起訴している。押収量は末端価格にして約1億5500万円とされ、関西空港としては開港以来最大規模だという。膨らみ続ける大麻密輸の中で、空港の最前線はどこまで「水際」で食い止めることができるのかを見ていく。
税関職員がとらえたささやかな違和感
2人の女は茨城県つくば市と埼玉県戸田市に住む会社員で、日常ではごく普通の生活を送っていたとされる。それにもかかわらず、関東在住にもかかわらずわざわざ関西空港から入国しようとした点などを税関職員が不審に感じ、荷物の精査につながったと報じられている。膨大な旅客の中から、住所や渡航履歴といった小さな違和感を拾い上げる現場の感度が、今回の発覚の出発点になった。
スーツケースは合わせて4個。中には乾燥エビなどの食品がぎっしり詰められ、その一つひとつの小袋の中に圧縮された大麻片が隠されていたという。食品の香りでにおいを紛らわせる古典的な手口と、真空パックで形状を分かりにくくする新しいやり方が組み合わさると、外見から見抜くのは難しい。X線検査や開披検査を行うかどうかの判断に、先の「違和感」が大きく影響したとみられる。
31キロという量は、一度に国内に流入すれば相当数の使用につながり得る。それでも旅客の流れを止めすぎれば、空港機能は立ち行かない。限られた人員で膨大な手荷物を見極める日常の中で、現場の職員は「普通の旅行者」と「組織的な運び役」の境目を探り続けている。そのバランス感覚こそが、統計には表れない水際対策の核心だ。
なぜ彼女たちは関空を選んだのか
関東に暮らす2人が、成田や羽田ではなく関西空港から帰国するルートを選んだ背景は、現時点で詳しく公表されていない。東南アジアからの直行便の本数や、混雑状況、過去の検挙例などを踏まえ、組織側が「リスクとコスト」を計算してルートを選定している可能性もある。ただ、今回のように居住地とのミスマッチ自体が不審点となることもあり、どこが「抜け穴」になるのかは固定的ではない。
大阪府警によると、2人は今年10月12日にタイ発の航空機で関西空港に到着した際、4個のスーツケースに乾燥大麻を隠して運び込んだ疑いが持たれている。逮捕後、2人は麻薬取締法違反などの罪で起訴され、裁判で刑事責任の有無が問われることになる。表向きは会社員で、犯罪の専門家ではない人物が「運び役」として使われる構図は、近年の薬物事件でも繰り返し指摘されてきたパターンだ。
日本の麻薬取締法では、営利目的で輸入した場合、単なる所持よりも格段に重い刑罰が定められている。量が多いほど社会への影響も大きいとみなされるためだ。今回のように30キロを超える規模になれば、背後に資金を出す者や、国内での販売網を担う者が存在するのが通常であり、捜査当局は2人だけで完結する事件とは見ていないだろう。とはいえ、輸送の現場を担うのは、日常生活では「普通の人」に見える人物であることが、この種の事件の厄介さでもある。
記録的押収の裏で続く「量」と「巧妙化」
今回の31キロ押収は、関西空港としては過去最大規模だが、全国的に見ると氷山の一角にすぎない。財務省のまとめでは、2025年上半期に全国の税関で押収された不正薬物は2073キロと初めて2トンを超え、そのうち大麻は1332キロと前年の8倍以上に増えた。空港や港湾の現場は、件数・量ともに膨らむ違法薬物と向き合い続けている。
例えば同じ2025年には、東京港に到着したコンテナ貨物から、乾燥大麻約1トンが見つかったケースもあった。大量輸送が可能な海上ルートと比べると、今回のような旅客機ルートは一度に運べる量こそ少ないが、運び役を細かく分散させることで摘発をすり抜けようとする狙いがうかがえる。検査方法や装置も、コンテナ貨物と個人のスーツケースとでは求められるものが異なり、現場の負担は単純には比較できない。
若年層への広がりが指摘される中で、大麻の違法な供給網をどこで断ち切るのかは、社会全体の課題になっている。空港検査はその入口に過ぎないが、ここで止められなければ、末端の街角やオンライン上の違法取引にまで流れ込みかねない。巧妙化する隠匿手口と急増する押収量のはざまで、現場の目と経験をどう支え、強化していくのか。今回の記録的押収は、空港に任せきりにできない重い問いを突き付けている。
