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警報の音が鳴り響いたのは、まだ夜が明けきらない時間だった。ナイジェリア北西部ケビ州マガ町の女子中等学校に武装集団が押し入り、寮にいた生徒25人を連れ去った。副校長は銃撃で死亡し、別の職員も負傷した。現場に駆け付けた警察や兵士は追撃したが阻止できず、今も家族たちは学校の前で娘たちの無事を待ち続けている。
武装襲撃と続く捜索 ケビ州で何が起きたか
襲撃が起きたのは2025年11月17日未明、午前4時ごろとされる。複数の男たちがオートバイで政府立女子中等学校に乗り付け、自動小銃を乱射しながら敷地に侵入した。警察との銃撃戦の末、彼らは塀を乗り越えて寄宿舎にたどり着き、女子生徒25人だけを選んで連れ去ったという。犯行声明はまだ出ておらず、動機も明らかではない。
ナイジェリア軍はケビ州に部隊を増派し、参謀総長ワイディ・シャイブ氏も現地入りした。彼は兵士に対し、情報に基づく作戦を昼も夜も途切れなく続け、少女たちを探し出すよう命じた。周辺の森林地帯や逃走経路となり得る道路では、一斉捜索が進む。同州では2021年にも別の学校から100人超が連れ去られ、身代金の支払いを経て2年以上かけて段階的に解放された経緯がある。中には拉致先で結婚を強いられ、子どもを抱いて戻ってきた若者もいた。
宗教対立に利用される物語と、その危うさ
ナイジェリアでは、イスラム過激派ボコ・ハラムや身代金目的の武装集団による襲撃が各地で続いている。2014年に北東部チボクの学校から少女が大量に連れ去られて以降、学校は象徴的な標的になった。こうした状況を背景に、米国のドナルド・トランプ大統領は最近、「過激派がキリスト教徒を大量に殺害している」と訴え、ナイジェリアへの軍事行動を検討するよう国防総省に命じたと語った。これに対し同国政府は、犠牲はキリスト教徒とイスラム教徒の双方に及んでおり、より複雑な治安危機だと反論している。
今回の拉致も、その物語に利用されている。ケビ州警察は通信社に対し、連れ去られた生徒25人はいずれもイスラム教徒だと説明した。それでも米共和党のライリー・ムーア下院議員はXに、「北部のキリスト教徒地域で起きた攻撃だ」と書き込み、トランプ氏の主張と結び付けた。これに対しナイジェリア側の政治家らは、事件の村は宗教が入り交じる地域であり、「キリスト教徒だけの飛び地」ではないと相次いで指摘している。
遠く離れた政治論争がどれほど激しくなっても、暗い教室に残されたノートと制服が、いまここで失われつつある子ども時代の重さを静かに語っている。