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東海岸の港町に朝霧が残るなか、洋上風力を巡る政治のうねりが静かに強まっている。トランプ政権で厚生長官を務めるケネディ氏が、CDCに漁業と健康への影響調査を指示したと複数の関係者が明かした。政権挙げての反風力の動きが、公衆衛生の枠組みにも及び始めたとみられる。
厚生長官の動きが映す政権の風向き
関係者の話として伝わるところでは、厚生省はCDC傘下の国立労働安全衛生研究所に対し、洋上風力が漁業へ及ぼし得る影響の調査計画を取りまとめるよう要請したという。政府機関の閉鎖リスクが意識されるなか、完了目標は約2か月とされ、米公衆衛生局長官室も関与していると報じられている。迅速な結論を求める政治の空気がにじむ。
CDCは労働災害・職業病の予防研究を担うNIOSHを内包し、いずれも厚生省の所管である。組織の位置付けは2024年1月17日時点の公式情報でも確認でき、政権が公衆衛生のラインを通じてエネルギー政策へ影響を及ぼす余地は小さくない。行政のレーンが交差する構図が浮かぶ。
トランプ氏は就任以前から風力発電に批判的で、政権発足後も各省庁の見直しや命令で大型案件にブレーキをかけてきた。2025年1月30日には無許可の風力発電所に影響するとみられる命令が報じられ、その後も秋口にかけて国家安全保障や財政の観点から洋上風力を厳しく問う姿勢が強まっている。政治主導の圧力が広がっている。
漁業と健康を巡る論点、どこまで科学か
厚生省のスタッフは、海底ケーブルの電磁場や騒音など健康への波及を含めた論点を拾い上げているとされる。一方で推進派は、現場の曝露は既存の安全基準に照らし有意な悪影響は示されていないと主張し、評価手法の透明化とデータ公開を求めている。科学的知見と社会的受容の溝が横たわる。
現時点で確認されている範囲では、CDCやNIOSHから本件に関する正式な調査開始の公表は見当たらない。匿名証言ベースの報道が先行する一方で、政権は港湾や航路、防衛上の配慮も持ち出しつつ、資金支援の見直しや許認可の再点検を重ねている。行政手続きと政治判断がせめぎ合う局面が続くと映る。
焦点は2つある。ひとつは、調査の射程と方法論を誰がどう定義するのかという点だ。専門家の選定や利害関係者の聞き取りが偏れば、結果の信頼性は揺らぐ。もうひとつは、漁業者の生計とエネルギー転換の両立をどう制度に落とし込むかである。補償、操業ルール、海域選定の基準づくりが問われている。
