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北西部の滑走路で整備員が動く。人工降雨装置を積んだ航空機が次々と離陸し、ウルミエ湖の上空へ向かった。2025年11月15日、気象当局は降水量が長期平均比で約89%減り、過去50年で最も乾燥した秋になったと明らかにした。IRNAは、同湖周辺での人工降雨(雲に薬剤を散布して降水を誘発する手法)の運用開始を伝えた。干ばつが5年続く中、当局は水の使い方を変える選択に踏み込みつつある。
気象当局が人工降雨を投入、記録的乾燥に対応
発表が出たのは11月15日だ。国内の降水量は長期平均比で約89%減少し、秋の乾燥度は過去半世紀で最悪とされた。背景には、繰り返す高温と降雨の不安定化がある。記録的な低降雨が続くため、主要な貯水池は細り、計画給水の議論も強まった。数字は厳しく、現場は迅速な手当てを迫られている。
こうした中で始まったのが、ウルミエ湖周辺での人工降雨だ。装置を搭載した航空機が対象雲を見極め、播種薬剤を投下する。雲播種は一定の水蒸気がある条件でのみ効果が出やすいとされ、万能薬ではない。それでも「ある水を逃さない」ための緊急対応として、当局は運用の幅を広げた格好だ。
水の使い方を変える動きも並行する。既定の30日枠を超える節水キャンペーンは、公共施設や商業施設にまで及び、住民の協力が頼みの綱になっている。人工降雨で得られる増分は限定的でも、需要側の削減と重ねることで、都市や農地に届く水の「持ち」を少しでも延ばす狙いがある。
縮むウルミエ湖と生活の逼迫、都市の水にも影
わずか20年前、ウルミエ湖は中東最大の湖として観光客を呼び込み、周辺にはホテルや飲食店が立ち並んだ。今、岸辺に残るのは塩の結晶とさび付いた船体だ。湖面は急速に退き、周囲の生業は細った。塩原化の進行は風に乗る塩塵を生み、農地や道路の維持にも新たな負担を生む。地域の経済と環境が同時に削られている。
16日には、首都テヘランを含む主要都市の飲料水供給への懸念が高まっていると国営メディアが伝えた。夏以降、需要期の配水圧低下や用途制限が段階的に導入され、住民は節水を日常に織り込んでいる。当局は貯水池の残量を注視しながら、需要抑制と臨時の配水調整を重ねて危機をしのぐ構えだ。
人工降雨の運用は象徴的な一歩だが、決め手は分散している。都市の漏水対策、農業の用水転換、需要の平準化といった地味な積み重ねが、水の持続時間を変える。11月15日と16日の連続した発表は、空に委ねるだけではなく、足元の配分と消費を同時に見直す局面に入ったことを示している。