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サイレンが旧市街の交差点を駆け抜けた。観光客と通勤客が行き交うラールキラー近くで、停止した乗用車が爆ぜ、周囲の車が黒く焦げた。2025年11月10日 22時ごろのことだ。当初は少なくとも8人の死亡、20人の負傷が確認され、その後の病院発表で犠牲は増えた。政府は12日に「テロ事件」との見解を示し、徹底捜査と責任追及を指示した。
現場で何が起きたか
11月10日 22時すぎ、地下鉄ラールキラー駅の出入口に近い交差点で、低速で進んでいた乗用車が信号で止まった直後、突発的な破裂音とともに炎が上がった。火は周辺の車両に広がり、小型三輪を含む複数台が相次いで延焼した。現場には人の動きが途切れず、救助の呼びかけが重なった。
通報を受けて消防が出場し、消火と救助が並行して進んだ。初動では8人の死亡が確認され、負傷者は20人規模に及んだ。翌日以降、治療中の重傷者の死亡が相次ぎ、13日までに犠牲は13人となった。被害車両は複数に及び、交差点の信号機付近は長時間にわたり封鎖された。
周辺の商店街は営業を切り上げ、駅の出入口や車線は順次規制された。観光の玄関口に近い地点で起きた突発事案は、帰宅の足が重なる時間帯を直撃した。目撃者が撮影した映像には、消火活動の合間に焦げた車体が並び、日常の動線が一時的に断ち切られた様子が残った。
政府の対応
12日、内閣は決議を採択し、今回の爆発を「反国家勢力による卑劣で臆病な行為」と位置づけた。内閣は犠牲者に弔意を表し、黙祷を捧げたうえで、負傷者の回復と現場対応に当たった医療・救助関係者への感謝を記した。
決議は、実行犯のみならず協力者や支援者、背後の資金提供者の特定まで捜査を広げ、遅滞なく法の裁きにかけるよう指示した。また、テロを容認しない方針を改めて明確にし、捜査は「最大限の緊急性と専門性」で進めるとした。政府の姿勢は、この事件の性質を事故から明確に切り分けた形だ。
事件後、首都圏の警戒は引き上げられた。空港や鉄道、行政施設にかけて点検と巡回が強化され、混雑するエリアでは手荷物確認が目に見えて厳格になった。観光と生活の往来が戻るなかで、現場の警備は平時運用との折り合いを探り続けている。
捜査の焦点と街の変化
当局は車体の残骸や金属片を回収し、監視カメラ映像をひもときながら爆源と移動経路の復元を急ぐ。発火の仕方や延焼の広がり方は、交差点の滞留と重なって被害を拡大させたとみられる。氏名や特定の組織を断定する段階には至っておらず、複数の可能性を検証する作業が続く。
首都では広範な警戒が続く。交通の要所に検問が設けられ、公共交通や商業地でも注意喚起が繰り返されている。救急や医療は長期の対応を見据えて体制を維持し、延焼で損傷した周辺の車両の処理や補償の手順も整えられつつある。市民生活に戻すための手当てが並行して進んでいる。
ラールキラーは首相が独立記念日に演説を行う場として知られ、国家の象徴と日常が交わる場所だ。その近くで起きた爆発は、観光の賑わいと通勤の流れの隙間に潜む脆さを露わにした。静けさを取り戻した通りに、強められた見回りの足音だけがしばらく残った。
