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大阪大学量子情報・量子生命研究センターの水上渉教授らとフィックスターズの共同研究グループは、3月12日付のフィックスターズ発表で、量子化学向け状態ベクトル型シミュレーター「chemqulacs-gpu」を使い、問題サイズと量子回路サイズの両面で世界最大とするシミュレーションを実行したと明らかにした。産業技術総合研究所の量子・古典融合計算基盤「ABCI-Q」を使い、量子アルゴリズムの事前検証能力を大きく広げたとしている。
独自シミュレーター、40量子ビットの壁突破 H₂Oで42スピン軌道系
発表によると、研究チームは量子位相推定法の一種である反復的QPEを実装し、大規模GPUクラスタ向けに並列計算を最適化した。これにより、量子化学の先行研究で上限とされてきた40量子ビット級を超え、H₂O分子では42スピン軌道系の計算に到達した。量子ビット削減技術を組み合わせた点も特徴で、より複雑な分子を対象に量子回路を検証しやすくした。
回路規模の面でも、Fe₂S₂分子を題材に41量子ビット回路の計算を実施した。フィックスターズによると、純粋な回路規模ベンチマークとしても最大級で、量子化学アルゴリズムの開発段階で必要になる大規模な試行錯誤を、実機の誤り耐性量子コンピューターを待たずに進めやすくなる。創薬や新材料探索を視野に入れた基盤技術としての意味合いが大きい。
ABCI-Qグランドチャレンジ採択 1,024台GPUで48時間計算
計算は、産総研が実施する「ABCI-Qグランドチャレンジ」を通じて行われた。発表では、ABCI-QのシステムHにあるNVIDIA H100 GPU 2,020台のうち最大1,024台を使用したという。公募要領でも同プログラムは256ノード、1,024GPUを最大48時間占有利用できる枠組みとして案内されており、今回の成果はその計算資源をほぼ上限まで使った実証例といえる。研究内容は米サンノゼで始まるNVIDIA GTC 2026でも報告予定だ。
量子コンピューターの実用化では、実機の性能向上と並行して、有望な量子アルゴリズムを古典計算機上でどこまで精密に検証できるかが競争力を左右する。今回の到達点は、誤り耐性量子コンピューター時代を見据えた量子化学計算の準備を一段前へ進めた成果であり、今後は対象分子の拡大と計算効率の改善が次の焦点になりそうだ。
