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ラトビア政府は2025年12月29日、ロシア国境に沿う約280キロのフェンス整備が完了したと発表した。内相リハルズ・コズロウスキスは、国境監視システムの導入を進め、EU東端で最も近代的な警備体制を目指す考えを示した。物理的な「壁」が一区切りを迎えた一方、現場の運用と費用負担は次の段階に入る。
完成の意味は「通行止め」ではなく、捕捉と抑止の底上げ
ラトビアとロシアの国境線は約284キロとされ、今回の整備はその大半をカバーする。湿地など施工が難しい区間では、アクセス路づくりも含めて工事が続いてきた。フェンスは国境地帯の行き来を一律に止める装置というより、越境や密輸などの芽を早く見つけ、国境警備隊が動ける前提を整えるインフラに近い。
ただ、国境に近い集落の住民が「これで安心」と受け止めているとは限らない。地上の越境を物理的に遅らせる効果は見込めても、上空からの脅威や挑発行為には別の備えが要るためだ。フェンスが生活実感と結びつきにくい地域ほど、次に何をどこまで追加するのか、説明と合意形成が問われる。
次の焦点は「見張る国境」—監視技術と維持費が主戦場に
政府側が次に重心を置くのは、カメラや各種センサーなどの監視技術だ。フェンス整備には多額の予算が投じられ、今後も巡回路や橋、監視設備の追加が計画されている。監視が厚くなれば、警備隊は「見つけてから追う」より前に、異常の兆候を検知して動ける。ただし、機器の故障対応や更新、通信網の整備など、建設後の固定費が膨らみやすい。
論点整理をすると、選択肢は単純な二択ではない。フェンスを延長・強化するのか、監視網を先に敷くのか、人員の増強や配置転換で穴を埋めるのかで、費用の出方も効果の出方も変わる。ロシアやベラルーシによる「ハイブリッド型」の圧力や、移民の流入ルートが揺れる懸念を背景に、ラトビアはEUの外縁を守る役割も背負う。投資を「建てて終わり」にせず、運用の現実に合わせて優先順位を組み替えられるかが次の焦点だ。
