深さ50kmの強い地震　北日本各地で津波観測　警報は注意報に移行

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2025.12.09

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8日23時15分ごろ、青森県東方沖を震源とするマグニチュード7.5の地震が発生し、青森県八戸市で最大震度6強、おいらせ町と階上町で震度6弱を観測した。震源の深さは約50～54kmで、地震の規模は気象庁マグニチュード7.5、モーメントマグニチュード7.4と推定されている。北海道から岩手にかけて津波警報が出され、岩手県久慈港で最大70cm、北海道浦河町で50cm、青森県六ケ所村や八戸港で40cmの津波が記録された。警報は9日未明に注意報へ切り替えられたが、気象庁は今後1週間ほど、同程度かそれ以上の揺れへの備えを続けるよう呼びかけている。

沿岸を襲った強い揺れと津波　比較的小さな波でも続いた緊張

震度6強を観測した八戸市では、家具の転倒や壁のひび割れが相次ぎ、津軽や三陸沿岸、北海道南部まで広い範囲で震度5クラスの強い揺れとなった。夜遅い時間帯だったが、多くの家庭で停電や食器の落下が起き、高速道路や鉄道の一部区間が一時運転を見合わせるなど、移動手段にも影響が出た。けが人は東北や北海道を中心に数十人にのぼり、自治体は避難所の開設や家屋被害の確認を急いでいる。

地震発生から数分で、気象庁は北海道太平洋沿岸中部、青森県太平洋沿岸、岩手県に津波警報を発表し、最大3m級の津波を想定した避難が呼びかけられた。防災行政無線やサイレンが鳴り響き、沿岸部では高台や避難ビルへ車と徒歩の列が続いた。実際に観測された津波は、久慈港の70cmなどおおむね数十cmにとどまったが、防波堤や港湾施設では流木や小型船が動かされる場面もあり、沿岸の緊張は長時間続いた。

一方で、東北電力などの発表によると、東通原発や女川原発など周辺の原子力施設で異常は確認されていない。津波警報はいずれも9日未明に注意報へ切り替えられ、その後順次解除されたが、避難指示や勧告の対象となった住民はのべ数万人規模に上った。津波が比較的小さかったことで大規模な浸水被害は避けられたものの、防潮堤に守られた港や河口ではわずかな水位変化でも危険となり得ることが、改めて突き付けられた。

初の「後発地震注意情報」　1週間続く揺れへの向き合い方

気象庁は9日2時、「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を初めて発表した。これは、日本海溝や千島海溝沿いで大きな地震が起きた後、巨大地震が続いて発生する可能性が平常時より高まったと判断された場合に出される情報で、法律や国の計画に基づき運用される仕組みだ。今回の青森県東方沖の地震は、想定震源域の一角で深さ約50km、マグニチュード7.6という条件を満たしたため、基準に沿って発表に至ったと説明されている。

注意情報が示すのは、「必ず巨大地震が起きる」という予告ではなく、「しばらくの間は発生リスクが相対的に高い」という状態だ。気象庁は、特に今後2～3日を含む1週間程度は、平時より強い揺れや津波に警戒するよう呼びかけている。実際に9日未明から朝にかけて、青森県東方沖ではマグニチュード5.9の地震（最大震度3）や、震度4を伴う地震が続いており、揺れが断続的に起きる状況が続いている。

強い揺れを経験した地域では、すでに地盤が緩んでいる可能性があり、比較的小さな雨でも土砂災害につながるおそれがあると指摘されている。沿岸部では、注意報や予報に切り替わった後も、海の様子が落ち着くまでは防波堤や河口、海岸近くに近づかないことが求められる。家具の固定や避難経路の再確認、数日分の水や食料の備蓄など、基本的な対策をこの機会に点検しておくことで、もしもの後発地震に対する不安を少しでも減らすことができる、との見方も出ている。