本サイトの記事や画像はAIが公的資料や報道を整理し制作したものです。ただし誤りや不確定な情報が含まれることがありますので、参考の一助としてご覧いただき、実際の判断は公的資料や他の報道を直接ご確認ください。[私たちの取り組み]
人の動きが止まったわけではない。メルカリは2025年11月7日に開示した2026年6月期第1四半期の決算資料で、スキマバイトサービス「メルカリ ハロ」を畳む判断を整理した。10月14日の発表で示した終了日をあらためて示し、投資の優先順位を見直す方針を明確化した格好だ。短期間で利用基盤を広げながらも、資源配分を切り替える決断が表に出た。
決算資料が示した「やめる理由」の整理
決算資料は、方針転換の位置づけを淡々と記す。10月14日の発表で掲げた終了日は2025年12月18日。説明では、設定したKPI(重要業績評価指標)の達成状況や事業・市場環境を総合的に勘案し、グループ内の投資の優先順位から終了を決めたと整理した。誇張を避けた語り口は、事業の引き際を社内の資源配分の文脈で捉えていることを示す。
公式の案内では、同日までに掲載された求人は従来どおり応募・勤務できるとされ、その後は停止に移る。勤務履歴の確認や税務書類の取得に配慮した移行期間も設けられ、利用者が必要な手続きを完了できるよう道筋が用意された。運営としての“締め”の作法が、利用者への影響を和らげる意図として読み取れる。
一方で、決算資料の詳細な数値や収益影響の開示は絞られている。公式発表と大手報道で確認できるのは終了日や移行措置の骨子であり、個別の指標にどこまで届かなかったかは限られている。だからこそ「なぜ今なのか」は、社内の優先順位という言葉に集約される。
スキマバイト市場の現在地と重力
スポットワーク市場は成長余地が語られてきた分、獲得競争の圧も強い。発注側・働き手側の双方で認知を取りにいくための広告やインセンティブ、本人確認や支払いなどの運用コストは小さくない。業界全体で、不正検知や安全配慮の水準を上げ続けるための投資も避けて通れない。
同社はフリマや決済などの既存事業で広い顧客接点を持つ。それでも、スポットワークという別軸の市場で継続的にシェアを積み上げるには、マーケティング、審査、プロダクト改善を多面的に投じる必要がある。足元の資源配分を見直す局面で、追加投資の見合いが慎重に測られたと受け止められる。
背景にあるのは、短期成長と長期収益性の綱引きだ。中核事業の強化や新領域の研究開発と比べ、どこに経営の重心を置くか。決算資料の言葉遣いは、その重心をあえて動かしたことを示す。派手さはないが、資本配分の意思としてははっきりしている。
数字が語る規模と、残された課題
「メルカリ ハロ」は2024年3月に始まり、2025年6月時点で登録者は1200万人を超えたと伝えられた。裾野の広さを象徴する数字だが、登録と稼働、稼働と収益化のあいだには距離がある。終了までの期間に、利用者が必要な確認や書類取得を行えるよう移行措置が案内されているのは、こうした距離を丁寧に埋める配慮でもある。
サービスの幕引きは、同社のエコシステム拡張という構想を否定するものではない。むしろ、今は中核の提供価値を磨き、将来また別の形で機会を取りにいくための足場を固める段取りに映る。選択と集中は、撤退の言い換えではなく、時間軸の置き換えでもある。
年末に向けて、求人は予定どおり動き、やがて静かに止まる。アプリの画面には、必要な記録だけがしばらく残り続ける。