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巨額の資金が、また1社のAIスタートアップへと流れ込もうとしている。マイクロソフトと半導体大手NVIDIAが、対話型AI「Claude（クロード）」を手がけるAnthropicに最大150億ドルを投じる枠組みを公表したのだ。同時にAnthropicは、今後数年でマイクロソフトのクラウド基盤Azure（アジュール）を300億ドル分利用することで合意し、資本とインフラの両面で結びつきを強める。
Anthropicに向かう150億ドルとAzure300億ドル
発表によると、マイクロソフトは最大50億ドル、NVIDIAは最大100億ドルをAnthropicに出資する予定だ。資金の払い込み時期や具体的な条件は明らかにされていないが、出資とあわせてAzure上での開発や販売を一体的に進める構想が示されている。Azureは企業が自前でサーバーを持たず、インターネット経由で計算資源を借りられるクラウドサービスであり、AIモデルの学習や提供の基盤となる。
Anthropicのダリオ・アモデイCEOは動画メッセージで、マイクロソフト製品を支えるため自社モデルを訓練し、共同販売に使える計算能力を増強できることへの期待を語った。ClaudeはChatGPTに対抗する対話型AIとして知られ、プログラミング支援や業務文書の作成など企業向けの用途で存在感を高めている。OpenAIへの巨額出資で知られるマイクロソフトにとって、競合スタートアップとも手を組む今回の動きは、複数のAIモデルを自社エコシステムに取り込む狙いを映し出している。
オープンAIとアマゾン、38億ドルではなく380億ドルの契約
こうした提携の裏側では、計算資源の確保を巡る競争が一段と激しくなっている。11月3日には、ChatGPTを開発するOpenAIがアマゾンと7年間で380億ドル分のクラウドサービスを利用する契約を結んだ。OpenAIはAmazon Web Services（AWS）のデータセンターにある膨大な数のNVIDIA製GPUを使い、次世代モデルの学習や日々のサービス提供に必要な処理能力をまかなうことになる。
OpenAIはこれまでマイクロソフトのAzureへの依存が大きかったが、AWSとの長期契約によりクラウドの選択肢を増やした。一方でマイクロソフトはAnthropicからの300億ドル分のAzure利用を取り付け、NVIDIAは両社にGPUを供給する立場を強める。AIスタートアップとクラウド大手、半導体メーカーが、出資と長期利用契約を組み合わせて互いを結びつける網の目はさらに細かくなりつつあり、その結び目の位置が、今後どの企業がAIインフラを握るのかを静かに形作っている。
