掘る地熱から増やす地熱へ　三井物産、次世代技術に投資

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2025.12.22

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三井物産が、次世代地熱の生産技術と事業開発を手がける米Fervo Energy（テキサス州）に出資する。出資額は非開示だ。狙いは、地層内に人工的な流路をつくって熱を取り出す「EGS」を軸に、米国での事業開発の連携を強めることにある。地熱を「ある場所で掘る」から「つくって増やす」へ転換できるかが問われる。

地熱の弱点だった「立地」を、工学で越える発想

EGS（Enhanced Geothermal Systems）は、ひとことで言うと熱はあるのに水や割れ目が足りない地下に、注水などで流れ道をつくり発電に使う方式だ。米エネルギー省（DOE）は、自然条件に恵まれた従来型の地熱（熱・流体・透水性がそろう）に比べ、人工的に「透水性」を確保して適用範囲を広げる考え方を示している。太陽光や風力と違い、天候に左右されにくい電源になり得る点が、電力の使い方が変わる米国で評価を押し上げている。

商社が賭けるのは技術そのものより、事業化の手順

今回の出資で三井物産が強化したいのは、技術の共同研究というより「発電所として動かす」ための組み立てだ。用地の確保、掘削計画、設備の調達、電力の売り先づくりまで、地熱は開発期間が長く関係者も多い。Fervoは米Business Wireの発表で、約$462mの資金調達を完了したとしており、グリッドの電力需要増を背景に「24/7」のクリーン電源を広げる構えを打ち出した。三井物産にとっても、米国で実績をつくることが、他地域での展開に直結する。

ネバダの実証から、ユタの商用へ──残る論点は

Fervoはネバダ州の実証で、30日間の坑井試験で3.5MW相当の出力に結び付く水量と温度を確認したとされる。さらにDOEは、ユタ州ミルフォード周辺のEGS実証支援にFervoを採択したと公表しており、国としても技術の社会実装を急ぐ姿勢がにじむ。商用では、ユタ州で2026年に100MWから供給を始め、段階的に拡大する計画が示されている。一方で、掘削コスト、許認可、誘発地震への備え、運用に要る水の扱いなど、地上の合意形成が進捗を左右しやすい。投資が増えるほど、技術よりも運用と地域合意が勝負になりそうだ。