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スマホの画面に表示されたコードをかざす仕草を見せながら、JR東日本の中川晴美常務が新サービスの名を紹介した。25日、JR東日本とパスモ、PASMO協議会は、モバイルSuicaとモバイルPASMOにコード決済機能「teppay（テッペイ）」を組み込むと発表した。モバイルSuicaは2026年秋、モバイルPASMOは2027年春から使えるようになる見通しだ。
SuicaとPASMOをまたぐ新コード決済「teppay」
teppayは、今使っているモバイルSuicaやモバイルPASMOのアプリをそのまま更新するだけで利用できる。アプリ内に新たな残高が用意され、コードを提示して支払うコード決済に加え、利用者どうしで残高を送り合う機能やオンライン決済にも対応する計画だ。SuicaとPASMOのどちらのアプリを使っていても、teppayユーザー間ならブランドをまたいで送金できる。また、ネット通販向けにJCBブランドのプリペイド「teppay JCBプリカ」をアプリ内で発行できるようにする。
決済に使うteppay残高は、銀行口座やATM、JR東日本のクレジットカード「ビューカード」からチャージできる。ビューカードを連携すれば、クレジットの利用枠を上限に事前チャージなしで買い物できる仕組みだ。上限2万円だった従来の交通系ICに比べ、コード決済残高は最大30万円まで貯められ、高額商品の支払いにも対応する。 利用できる店舗は、teppayマークのある店に加えSmart Code加盟店などを含めて、サービス開始時から約160万カ所を見込んでいる。
別枠残高と地域連携、広がる使い道
teppayの残高は、改札を通るときに使うSuicaやPASMOの残高とは別にサーバー上で管理される。コード決済用の残高そのものでは駅の改札を通れず、あくまで買い物やネット決済向けの財布として位置づけられているとJR東日本は説明する。 一方で、teppay残高から交通系ICの残高へ振り替えたり、定期券の購入に充てたりすることは可能だ。自治体と組んだプレミアム商品券やキャッシュレス還元事業に使う「地域限定バリュー（バリチケ）」として発行する構想も示されており、通勤だけでなく地域経済との結び付きも意識した設計になっている。
サービス検討の背景には、キャッシュレス決済の選択肢が増えすぎたことへの違和感があったという。JR東日本が1都3県で行った調査では、9割近い人が「サービスが多様化しすぎて負担を感じる」と答えた。そこで、日々の移動で必ず起動するSuicaやPASMOに、高額決済や送金、地域ポイントまで一体で載せることで、支払いの窓口を整理しようとしている。世帯の中でSuica派とPASMO派が分かれる実情を踏まえ、両陣営が同じ仕組みを共有することで、家族間の送金やお小遣いの受け渡しも1つの枠組みで完結させる狙いだ。スマホの中で、通勤のツールだったICカードが生活全体を支える基盤へと静かに姿を変えつつある。
