米海軍がコンステレーション級建造を打ち切り　計画転換で4隻契約解消へ

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2025.12.01

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アメリカ海軍は現地時間11月25日、新型水上戦闘艦「コンステレーション級」の建造を打ち切ると発表した。米ウィスコンシン州の造船所で建造中の2隻は当面続行する一方、その後に予定されていた4隻は契約を解消する方針だ。より短期間で就役させられる新艦クラスへ資源を振り向けるというが、艦隊増強の柱と見られてきた計画の転換は、造船の現場と将来の米海軍戦略に何をもたらすのか。

造船の街に走った波紋と、雇用をどう守るか

主力建造拠点となってきたのが、五大湖沿いのウィスコンシン州マリネットにあるFincantieri Marinette Marine造船所だ。ここでは1番艦「コンステレーション」と2番艦「コングレス」がすでに起工され、多数の熟練工と下請け企業が長期の仕事を見込んでいた。今回の決定により追加4隻は失われたものの、海軍は当面2隻の建造を続け、造船所を将来の新艦建造にも活用すると強調している。

地元テレビ局WBAYなどによれば、造船所を運営するFincantieri側は「自社従業員の大規模な削減は想定していない」としつつ、追加艦の建造がなくなったことで一部の専門職や外注労働への需要は下がるとの見通しを示している。同社は代わりに揚陸艦や砕氷船といった別種の艦艇受注を見込み、米海軍も「重要な造船技能を維持することが最優先だ」と繰り返す。

それでも、発注の前提が数年単位で変わるたびに、地域経済は投資判断を揺さぶられる。住宅や教育、インフラは艦艇のライフサイクルを前提に整備されてきたからだ。今回も表面上は雇用維持がうたわれる一方で、下請け企業の設備投資や新人育成を控える動きが出れば、数年後に新しい艦種を急いで建造しようとしても、人材と能力が足りないという逆風になりかねない。

「低リスク」のはずが設計変更で迷走　延期が決断を早めた

コンステレーション級は、フランス・イタリア海軍で運用されている多任務フリゲート「FREMM」をベースにした計画で、2020年に米海軍がFincantieriを主契約者に選定した。既存設計を活用することで、従来の新型艦より設計リスクとコストを抑える――それが当初の売り文句だった。

しかしその後、米側の要求性能を盛り込む形でレーダーや武器、居住区画などへの追加要求が重なり、艦の重量増加と再設計が繰り返された。米会計検査院（GAO）の報告では、設計完了度は5年たっても7割程度にとどまり、1番艦の引き渡し時期は当初想定より3年遅れて2029年にずれ込んだと指摘している。

こうした遅延とコスト超過を受け、海軍は「将来の脅威に備えるには、より迅速に大量の艦を建造できる枠組みが必要だ」として、まだ着工していない4隻の契約を打ち切る枠組みでFincantieriと合意した。既存艦をベースにしながら、結果的には従来型の大型新造艦と同じように設計変更の沼にはまり込んだ構図は、かつて計画が縮小された沿岸戦闘艦（LCS）とも重なる。

艦隊拡張と財政負担　次の一手は「スピード重視」だけでよいか

今回の中止は、単なる1クラスの見直しにとどまらない。ビジネスインサイダーやウォール・ストリート・ジャーナルは、老朽艦の退役が続く一方で新造艦のペースが追いつかず、艦隊総数が一時的に減少している現状を指摘する。コンステレーション級は本来、そのギャップを埋める中核戦力になるはずだった。

海軍は今後、2027会計年度予算とともに新たな30年艦艇建造計画を示し、より短期間で就役させられる新クラスの艦を複数の造船所で並行建造する構想だと説明している。だが、新設計に急いで舵を切れば、再び要求性能の膨張や設計変更による遅延を招く危険もある。

これまで投じた巨額の資金という事実は消えず、その負担は最終的に納税者が引き受ける。造船所は発注の増減のたびに設備投資や人員計画を見直さざるを得ず、前線の乗組員は老朽艦への依存が長引く可能性もある。本来はリスク低減策とされた「既存艦ベース」の計画が頓挫した今こそ、誰がどの段階でどのリスクを負うのかを明確にしたうえで、艦隊づくりのスピードと慎重さのバランスを問い直す局面に来ている。