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イスラエルのネタニヤフ首相は2025年12月24日、国外への依存を減らすとして、今後10年で3500億シェケル（約1100億ドル）を投じて「独立した兵器産業」を育てる方針を示した。空軍パイロットの式典で、不可欠な物資の調達は続けつつ、可能な限り国内で武器を生産する考えを強調した。
「買う」だけでは足りない、国産化を急ぐ理由
首相の発言の軸は、戦いが長期化する局面での調達リスクにある。ネタニヤフ氏は、必要な物資を外部から確保し続ける一方で、国内での武装を進めると説明し、完全な自立は不確実でも「できるだけ国内生産に寄せる」姿勢を示した。前線で弾薬や部品が遅れれば、訓練計画や整備の段取りまで組み替えが要る。
背景には、戦時の輸出規制や見直しが起こり得る現実がある。ガザ情勢をめぐって、一部の国は国際法上の懸念などを理由に、対イスラエルの武器輸出に制限や審査を導入してきた。味方であっても国内事情で供給が細る可能性がある以上、調達ルートを「契約」だけに頼らず、自国の生産能力で下支えしたいという読みが透ける。
10年3500億シェケルの重み、同盟と産業の間で
3500億シェケルという規模は、単発の調達ではなく「産業の設計」を意味する。イスラエルでは2026年の国防予算が1120億シェケルとされ、別枠で今後10年の累計増額が決まったとの報道もある。目先の補給を回しながら、研究開発、人材、設備投資まで抱えるのは重い判断で、他の歳出や財政運営との綱引きも避けられない。
ただ、依存を減らすと言っても、どこから減らすののかが次の焦点になる。SIPRIの集計では、2020〜2024年のイスラエルの主要兵器輸入は米国が66%、ドイツが33%を占めた。国内生産を増やすほど、海外からの部材や技術、共同開発の扱いも再設計が必要になる。首相が「不可欠な物資は調達する」と含みを残したのは、国産化の旗を掲げても同盟との結節点を切れない現実を織り込んだ発言とも言える。
参考・出典
- Netanyahu: Israel to spend $110 billion to develop independent arms industry in next decade
- Israel to invest 110 bln USD over decade to build independent arms industry: Netanyahu-Xinhua
- Agreements reached: Defense budget for 2026 set at 112 billion shekels | Israel National News
- Israeli gov't approves 2026 state budget at 205 bln USD | The Star
