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オランダに本拠を置く半導体大手ネクスペリアの中国法人が、主要製品の2026年生産分を全てまかなうシリコンウエハーを中国国内企業から確保した。Reutersが入手した内部文書で分かった。経営権を巡る対立で、オランダ側が原材料の供給を止めた後の「自前調達」が、現場の止血になるかが焦点だ。
止まるのは工場か、調達ルートか
内部文書によると、中国法人はWingsky Semi、Shanghai GAT Semiconductor、United Nova Technologyなどからウエハーを確保し、IGBT向けの2026年生産をカバーできる体制を組んだ。ウエハーは半導体の土台となる薄い円盤で、調達が途切れると製造ラインは文字通り回らない。
IGBTは、ひとことで言うと大電流を効率よく切り替える電力制御用の半導体だ。EVや産業機器で使われ、供給が細ると完成品メーカーが工程を組み替えざるを得ない。実際、供給混乱は自動車産業にも波及しており、部品調達の「代替が利きにくい領域」が改めて露呈した。
親会社の供給停止が残した、品質と統治の宿題
発端は統治を巡る衝突だ。オランダ政府は2025年9月30日、物資供給法を根拠にネクスペリアへの介入を発動し、欧州内の知見や生産能力の流出を防ぐ狙いを示した。その後、対話の進展を理由に11月19日付で介入を停止したが、企業内部の対立は消えていない。
ネクスペリアは公式発表で、中国側が統治の枠組みから外れたことなどを理由に、2025年10月29日に中国拠点へのウエハー供給を停止したと説明している。一方、中国側は在庫や生産の継続を強調してきた。調達先を国内に切り替える動きは当面の量を確保しても、品質認証や責任の所在という別の不安を残し、顧客の調達判断を難しくする。
参考・出典
- Exclusive-Nexperia’s China unit switches to local firms for wafer supplies, document shows
- Update on company developments | Nexperia
- Minister of Economic Affairs invokes Goods Availability Act | News item | Government.nl
- ネクスペリア中国部門「在庫十分」、親会社のウエハー供給停止で｜ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
- Dutch government suspends takeover of Chinese-owned Nexperia | Euronews
