本サイトの記事や画像はAIが公的資料や報道を整理し制作したものです。[続きを表示]ただし誤りや不確定な情報が含まれることがありますので、参考の一助としてご覧いただき、実際の判断は公的資料や他の報道を直接ご確認ください。[私たちの取り組み]
兵庫県知事選(2024年11月)をめぐるSNS投稿などで、兵庫県議の奥谷謙一氏(40)の名誉を傷つけたとして、名誉毀損、脅迫、威力業務妨害の疑いで書類送検されていた政治団体「NHKから国民を守る党」(NHK党)の立花孝志党首(58)について、神戸地検は2025年12月24日、嫌疑不十分で不起訴とした。刑事手続きが止まる一方で、被害を訴える側には「次に何を選ぶか」という宿題が残った。
不起訴で残る「証明の壁」と、現場の疲弊
不起訴のうち「嫌疑不十分」は、捜査機関が一定の疑いを抱いても、裁判で有罪を立証する材料が足りないと判断した局面を指す。奥谷氏は、斎藤元彦知事のパワハラなどの疑惑を調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)の委員長として注目を集めた時期に、発信の標的になった。選挙や政治の熱量が高いときほど、SNSの一文が一気に広がり、本人や事務所に電話やメールが積み上がる光景が起きやすい。
今回の告訴・被害届は、投稿の内容だけでなく、自宅兼事務所の前での言動も争点に含まれていた。県警は告訴などを受理し、2025年6月に書類送検していたが、地検は処分理由の詳細を明らかにしていない。刑事で区切りがつくかどうかは、発信の影響の大きさだけでは決まらない。何が「脅迫」や「威力業務妨害」に当たるのか、言葉の強さと具体性、周辺状況の積み上げが問われる。
言論の線引きはどこへ向かうのか
名誉毀損は、社会的評価を下げる行為を処罰対象にする一方で、表現の自由との境界線が常に問題になる。刑法上は、公然と事実を摘示して名誉を毀損した場合に成立し得るとされ、公共性や真実性なども争点になりやすい。選挙期間中の発信は「批判」も「中傷」も同じタイムラインに流れる。見出しだけを追う読者が増えるほど、受け手の側で丁寧な確認をする余裕が削られていく。
不起訴で終わったからといって、被害の訴えが消えるわけではない。共同通信などによると、奥谷氏は処分を受け、行為が許されるという誤ったメッセージになりかねないとの懸念を示し、民事での対応も検討するとした。刑事が「国が処罰するか」を問う場なら、民事は「誰がどんな損害を負ったか」を積み直す場だ。政治の言葉が生活の不安に直結する時代に、線引きの作業は司法だけでなく、有権者の手元にも戻ってきている。
