日産自動車が本社ビルの受益権を譲渡、資産を現金化し賃借で拠点維持

日産自動車が本社ビルの受益権を譲渡、資産を現金化し賃借で拠点維持

本サイトの記事や画像はAIが公的資料や報道を整理し制作したものです。ただし誤りや不確定な情報が含まれることがありますので、参考の一助としてご覧いただき、実際の判断は公的資料や他の報道を直接ご確認ください。[私たちの取り組み]

判を押す音が会議室に響き、横浜の本社ビルが資本の上で動いた。日産自動車は、同ビルを信託設定したうえで受益権を譲渡する契約を公表した。売却後は賃借して本社として使い続ける。資産を現金化しながら拠点を維持する、再建の足取りを整える一手である。

本社はそのまま、所有は移す

2025年11月6日、同社は所有を巡る手法として、建物と土地を信託に移し、受益権を第三者に譲る枠組みを示した。現場の仕事や来客の動線はそのままに、法的な持ち方だけを切り替える。社員が座る席もギャラリーの賑わいも変えず、資本構成の柔軟性を高める設計だ。

契約は受益権の売却額を970億円とし、固定資産売却益にあたる約739億円を特別利益として今期に計上する見込みだ。譲渡の実行は12月12日付。取引後は20年間の賃貸借でグローバル本社の利用を継続し、賃料などの条件は非開示とされた。

受益権の譲渡先は東京都中央区のMJI合同会社である。紙の上で所有者は替わるが、街に灯る看板はそのままに、働く場の連続性を確保する。資金を厚くしつつ事業の軸を動かさない、そのための線の細い手当てといえる。

資産を動かし、再建の原資をつくる

本社売却の検討は春から各社が報じてきた。工場再編や人員施策を含む再建の途上で、資産側を見直して原資をひねり出す狙いがある。セール・アンド・リースバックは、現金化と業務継続を両立させるための定石で、今回もその教科書どおりの動きが選ばれた。

夏には買い手の最有力候補として米系のファンド名が浮上した経緯がある。その後、具体化の過程で信託スキームと受益権の移転が固まり、譲渡先として新たな法人名が示された。金融の仕組みを重ねることで、リスクとリターンを丁寧に切り分けた形だ。

一方で、所有から賃借に移る以上、将来にわたり賃料という固定費は積み上がる。資本効率の改善とコストの増分が綱引きする構図は続くだろう。目先の資金をどこに振り向け、どの速度で回収するか、その配分設計が問われる。

横浜に灯りを残しながら

拠点は横浜にとどまり、ギャラリーも普段どおりの開館が続く。長めの契約の枠は、従業員の通勤計画や周辺の店舗にも安定をもたらす。来訪者が目にするのは同じ受付と展示であり、裏側で資本の名義が入れ替わったことは、外からは見えにくい。

一定の時間が過ぎれば、契約の更新や再編といった別の選択肢も開くだろう。いまは資産を現金に替えて身軽さを得た段階で、手にした資金の使い方が会社の輪郭を決めていく。売却額や特別利益の大きさが示すのは、次の投資に向けた余地である。

朝の受付に呼び出し音が短く鳴り、来客が足を止める。書類に記された所有の名義が変わっても、働く人と訪れる人の動きは変わらない。資産が動いたあとに残る地続きの日常が、静かに次の一歩の土台になる。

参考・出典

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