北朝鮮が黄海に多連装ロケット砲　韓国軍は冬季訓練と分析

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2025.12.10

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韓国軍の説明によれば、9日午後3時ごろ、日本と同じ時刻に北朝鮮が黄海北部の海上に多連装ロケット砲をおよそ10発撃ち込んだという。軍は今回の発射を冬季訓練の一環とみつつ、11月にも同規模の発射が相次いだ経緯を踏まえ、黄海沿岸で続く緊張の意味を慎重に探っている。

黄海沿岸で続く”低強度”の緊張

今回の放射砲が向かった黄海北部は、南北の実効支配線とされる北方限界線(NLL)に近い海域で、韓国側の島しょ部や漁場も抱える。軍当局は着弾地点や飛距離を公表していないが、沿岸では過去の砲撃戦を経験した住民も多く、小さな変化にも神経をとがらせている。

韓国軍によると、北朝鮮は11月1日と3日にも黄海北部へ約10発ずつ放射砲を発射している。いずれも弾道ミサイルより脅威度が低いとされる砲撃だが、ソウル首都圏も射程に入る240mm多連装ロケット砲とみられ、誤射や偶発的衝突に対する不安は消えない。

韓国軍は北朝鮮側の動きを細かく追いながら、予期せぬ軍事行動にも優位な形で応じられる態勢を維持していると説明する。ただ、発射が短時間で終わるため沿岸地域ではサイレンも鳴らず、日常の風景の中で静かな緊張だけが積み重なっている。

今回の放射砲発射について、聯合ニュースは韓国軍関係者の話として”北朝鮮軍が毎年12月から行う冬季訓練の一環とみられる”と伝えた。北朝鮮は気温が下がる時期に長期の野外訓練を行い、砲兵部隊の機動や射撃精度を確認してきたとされる。

一方で、北朝鮮は11月1日と3日の放射砲発射を、韓中首脳会談や韓米国防相の板門店訪問と同じタイミングで実施しており、韓国メディアは外交・安保日程に合わせた”低強度の示威行為”と位置付けている。訓練と政治的メッセージが重なる構図だ。

韓国軍は北朝鮮の一連の動きを”挑発ではなく訓練”と位置付け過度な緊張を避けつつも、黄海や非武装地帯周辺での監視態勢を強化している。発射そのものは小規模でも、頻度が高まれば誤認やエスカレーションのリスクが増すとして、専門家からは対話の窓口を保つ重要性を指摘する声も出ている。