佐賀関大規模火災、離島も含む一帯で消火完了　17日間の延焼に幕

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2025.12.04

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大分県大分市佐賀関の大規模火災について、大分市は12月4日午後2時、海を挟んで燃え続けていた離島での延焼も収まったと公表した。これにより、11月18日の出火から数えて17日目にして、半島部と離島を含む一帯がようやく鎮火を迎えた。長く続いた火との闘いは一段落したが、地域の暮らしに残された傷跡をどう埋めていくのかが、これからの大きな課題になっている。

17日目の鎮火、それでも続く暮らしの再建

この火災では、住宅や店舗などあわせて180棟前後が焼け落ち、少なくとも1人が死亡、数人がけがを負ったと報じられている。焼失面積は約4.9ヘクタールに及び、戦後数十年の中でも最大級の市街地火災と位置づけられている。家を失った人の多くは、周辺の公民館などに設けられた避難所や親族宅での生活を続けており、火が消えたからといってすぐに日常へ戻れる状況ではない。

避難生活の長期化で体調を崩す人も出ている。発生から1週間が過ぎた時点で、避難所ではインフルエンザの集団感染が確認され、市が医師の巡回や薬の配布を急いだ。一方で、自宅がどうなったのか確かめたいとの声を受け、被災者が警察や消防の同行のもとバスで規制区域内に入り、焼け跡を短時間だけ確認できる機会も設けられた。

こうした中、小規模事業者や商店主に向けた支援も動き始めている。中小企業基盤整備機構や日本政策金融公庫は、被災した中小企業向けに特別相談窓口を開設し、資金繰りや再建計画の相談に応じている。九州経済産業局も同様の相談窓口を設け、災害救助法の適用を前提に支援措置を案内している。住まいの再建とあわせ、地域の仕事をどう立て直すかが、住民にとって切実なテーマになっている。

離島まで燃え広がった異例の火災が突きつけたもの

今回の火災がここまで長期化した背景には、いくつかの条件が重なったと専門家はみている。11月中旬の大分県は乾燥した状態が続き、出火当日も強い季節風が吹いていた。さらに、古い木造住宅が密集し、路地が入り組んだ地形のため消防車が奥まで入りにくく、延焼のスピードが速まったと指摘されている。わずか1つの住宅火災が、町全体をのみ込む「都市型の大火」に変わった構図だ。

火は海を越えて、約1.4キロ離れた無人島・蔦島にも飛び火した。19日以降も島の山林で多数の熱源が確認され、防災ヘリによる散水が続いた。半島側の住宅地は比較的早い段階で「鎮圧」や「鎮火」が宣言されたものの、島の火は完全には消えず、12月4日の市の発表でようやく「離島も含めた鎮火」にたどり着いた。海上の離島で起きる火災は、地上からの消火が難しく、ヘリや船に大きく依存せざるを得ないという弱点も浮かび上がった。

こうしたリスクは、佐賀関だけの特殊事情ではない。全国各地の港町や坂の多い集落には、似たような木造密集地が残っている。2016年の新潟県糸魚川市の大火を分析したコラムでも、狭い道路や老朽建物が被害拡大の要因になったと整理されている。佐賀関の経験は、住宅再建の場面で防火帯となる空間づくりや、離島・山林を含めた広域の消火体制をどう整えるかを、住民と行政があらためて話し合う出発点になるだろう。

17日目の鎮火、それでも続く暮らしの再建

離島まで燃え広がった異例の火災が突きつけたもの

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