英語投稿で広がった『大量追放省』誤認が小野田氏人事に波紋

SNSで誤報拡散「大量追放省」実際は官房内の新事務局

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夜のタイムラインに英語の投稿が次々と浮かんだ。「日本の新首相が“大量追放省”を設置した」。Xとフェイスブックで拡散したこの言説は、事実と噛み合っていない。政府が実際に動かしたのは省ではなく、内閣官房の新たな事務局だ。拡散の渦に巻き込まれたのは小野田紀美氏の人事であり、政策の中身ではない。誤情報の影が、静かな官邸の灯に重なる。

「大量追放省」は存在しないという事実

英語圏の投稿が描いたのは、首相就任直後に外国人を大量に国外追放する省を新設し、担当大臣を置いたという、刺激的で単純な物語だった。しかし、現時点で確認できる政府の一次資料に、そのような「省」の記載はない。省庁の新設には法改正や所掌の定義が伴い、官報や閣議資料に痕跡が残るのが通例だが、その形跡は見当たらないというのが実像だと映る。

事実として動いたのは、2025年7月15日に内閣官房に設けられた「外国人との秩序ある共生社会推進室」である。発足式で当時の政権は、受入れ拡大とともに「ルールを守らない方々への厳格な対応」や制度の見直しを掲げ、関係省庁横断の司令塔を置いた。ここで示されたのは事務局機能の強化であり、独立した「省」を創る話ではない。この違いは大きい。

つまり、誤情報がいう「省」は制度上も組織上も裏付けがない。実在するのは官邸直轄の「室」で、政策の企画調整や情報基盤整備、出入国在留管理の適正化などを連携して進める位置づけにある。厳格化の語感だけが切り取られ、追放の物語へと飛躍した構図が浮かぶ。見出しと実体がすれ違う典型例だといえる。

小野田氏の所掌と発言、どこまでが新設なのか

今週の人事では、小野田紀美氏が経済安全保障相に起用され、あわせて外国人との秩序ある共生社会推進担当大臣や複数の内閣府特命を担う布陣になったとされる。石破政権が官房に置いていた推進室に対し、政治レベルの司令塔として新たに「担当大臣」を据えたのが今回の特色だとみられる。ここでも加わったのは調整力であり、「省」の創設ではない。

22日の就任会見で小野田氏は、一部の外国人による犯罪や制度の不適切な利用に言及し、国民の不安や不公平感に向き合う姿勢を示した。ここで触れられたのは「ルールを守らない方々への厳格な対応」であり、大量の国外追放とは別の次元での秩序回復である。現時点で確認されている範囲では、国外追放を前提とする発言は見当たらない。

加えて、このテーマは単独の省庁で完結しない。出入国管理は法務当局、治安は警察、労働・教育・地域支援はそれぞれの所管が担う。推進室と担当大臣は横串を刺す役目で、個別の在留管理や強制退去の実務を新設の「省」が統一的に指揮する設計にはなっていない。誤情報は、政府内の役割分担をあえて無視した単純化に支えられていると映る。

SNSに広がる誤解、その温度を測る

投稿の一部は「就任直後に大量追放省を設置」と断じ、数百万回規模で閲覧されたとされる。別の動画では、天皇が「全国的な追放計画」を承認したと装うものまで現れた。だが、憲法上、天皇は国政に関する権能を持たない。政治的権限の主体は内閣と国会であり、「承認」を根拠づける法制度は存在しない。メッセージの強さだけが独り歩きした格好だ。

背景には、外国人受入れと観光の急回復、少子高齢化による人手不足がある。日本の外国人比率は主要国と比べ依然として小さいが、在留者は増え、街の風景も変わりつつある。政治の現場でも観光客の迷惑行為や制度の不正利用が論点化し、選挙戦では「秩序」をめぐる象徴的な言葉が注目を集めた。そこに海外の受け手が持つ先入観が重なり、誤解が増幅したとみられる。

英語の投稿はタイ語やドイツ語、スペイン語にも翻訳され、異なる文化圏で同じ物語が反復された。だが、一次資料が示すのは「室」と「担当大臣」であるという地に足のついた構図だ。怪しい見出しを見かけたときは、官邸や各府省の発表、会見録に当たるのが早い。言葉の熱に引かれず、制度のかたちを確かめる。静かな確認が、騒がしい誤情報を鎮める。

参考・出典

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